経営側が「ベア」言及で様変わりする春闘 賃上げ持続のカギは労使の連携
経営側が「ベア」言及で春闘様変わり 賃上げ持続のカギ

春闘の姿が大きく変化 経営側が「ベア」をスタンダードに位置づけ

かつての春闘では、労働組合が賃上げを要求し、企業が消極的な姿勢を見せる中、ストライキも辞さない激しい交渉が展開される光景が一般的でした。しかし、近年はその姿がすっかり様変わりしています。特に注目されるのは、経営側が積極的に賃上げに言及するようになった点です。

労使フォーラムで示された新たな方向性

2026年春闘の本格化に先立ち、1月末に開催された「労使フォーラム」では、経団連の筒井義信会長が重要な発言を行いました。従来、労働組合が要求しても「論外」として企業側にはね返されることが多かったベースアップ(ベア)について、「ベア実施の検討を賃金交渉のスタンダードにし、来年以降もベア実施の検討から始めよう」と表明したのです。

これに対し、全体で5%以上の賃上げ要求を掲げる労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長も、「自分の賃金がこれからも上がるという賃上げノルム(社会通念)の確立を目指す」と呼応。賃上げの方向性において、労使の目線がそろったことを強く印象づけました。

日本経済の構造的課題と賃上げの重要性

この30年余り、日本経済は低成長ながら企業収益は大きく拡大してきました。しかし、賃金は伸び悩み、労働者への分配が十分でない状況が続いていました。近年の物価高を背景に、賃上げの必要性がより一層高まっているのです。

2025年度の最低賃金(時給)改定では、歴史的な物価高を踏まえ、初めて全都道府県で1000円を超える結果となりました。このような状況下で、持続的な賃上げを実現するための枠組みが求められています。

賃上げ定着への課題と展望

経団連はすでに春闘の先を見据え、賃上げを定着させるための方策を模索しています。一方で、消費減税などの政策が賃上げのブレーキ役となる可能性を懸念する労働組合幹部も存在します。企業側の賃上げに対する消極的な姿勢が完全に払拭されたわけではなく、今後の交渉においてどのような進展が見られるかが注目されます。

春闘における労使の対話は、単なる賃金交渉を超え、日本経済全体の持続可能な成長を考える重要な場となっています。賃上げノルムの確立を通じて、労働者の生活水準向上と経済活性化の両立を目指す動きが、今後さらに加速することが期待されます。