夜の学び舎が支える多様な生徒たち 愛媛の定時制高校で見つけた温かな居場所
夜の学び舎が支える多様な生徒たち 愛媛の定時制高校

夜の学び舎が支える多様な生徒たち 愛媛の定時制高校で見つけた温かな居場所

愛媛県の県立高校定時制は、従来の「昼に働き、夜に学ぶ」というイメージを超え、多様な事情を抱える若者たちの重要な学びの場として機能している。昨秋から約半年間にわたる取材を通じて、小中学校時代に不登校を経験した生徒たちが新たな居場所を見つける姿が浮き彫りになった。

互いの過去を理解し合う教室

松山南高校定時制をこの春卒業した鳥生晴希さん(20)は、中学生時代にクラスで孤立し、欠席が続く日々を送っていた。しかし定時制では、同じように様々な過去を持つ同級生たちと出会い、励まし合い、笑い合うことができるようになったという。

「みんな、いろんな過去がある。だからこそ、お互いを思いやり、優しくなれた」と鳥生さんは振り返る。彼女にとって定時制は「無理せず、普通に通える学校」であり、つらい経験を乗り越えるための温かな居場所となった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

教員も独自の働き方で生徒と向き合う

夜の学び舎では、生徒だけでなく教員も特徴的な働き方をしている。松山商業高校定時制では、20代の男性教員が昼間は社会人野球の選手として活動し、夜は教壇に立って簿記などの商業科目を教えている。

この教員は「一生懸命に学ぶ生徒たちを見ると、自分ももっと頑張ろうと思えるんです」と語り、生徒と教員が互いに刺激し合う関係性を築いている。

少人数制の手厚い指導と高い進学率

定時制の特徴的な利点として、少人数制による個別指導の手厚さが挙げられる。生徒一人一人の興味や適性に応じた学習が可能で、自分のペースで学びを深めることができる環境が整っている。

卒業後の進路では、就職よりも進学が大半を占める傾向が顕著だ。この春卒業した松山商業高校の3人は全員が進学を決め、松山南高校でも26人中16人が進学を選択した。

松山南高校の中島弘二教頭は「一人一人の夢や背景を知り、教員が寄り添うことができる」と指摘し、個別対応の重要性を強調する。

新たな夢に向かって歩み出す卒業生たち

鳥生さんは松山大学への進学が決まり、定時制時代の仲間とバンドを組む計画を立てている。「オープンキャンパスで軽音サークルを見て、かっこいいと思った。ドラムをたたきたい」と、彼女は大学生活への期待を晴れやかな表情で語った。

年齢や過去の経験に関わらず、互いの個性を認め合い、支え合う温もりのある場所として、愛媛の夜の学び舎は確実に存在感を増している。現在、小中学校で登校に悩む生徒たちに対して、「夜の学び舎もあるんだよ」と伝えたいという思いが、関係者たちの間で広がっている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ