跡見学園のクラブ活動、本物の美を追求し心身を育む
跡見学園中学校高等学校(東京都文京区)は、芸術系クラブ・同好会が豊富なことで知られ、教育方針の一つである「本物の美の探求」をクラブ活動にも反映している。文化系と運動系を合わせた29のクラブ・同好会の中で、特に芸術系の活動が多く、生徒たちは日々の練習を通じて技術を磨き、表現力を高めている。今年度はダンス部が創部60周年、来年度には謡曲仕舞同好会が創設70周年を迎える節目の年となり、両クラブの活躍が注目されている。
芸術系クラブの充実と教育方針
同校は、「『本物』に触れて豊かな心を育てること」を教育方針としており、これを基に「跡見流リベラルアーツ」「本物の美の探求」「探究型創造学習」の三つをカリキュラム・ポリシーとしている。生徒指導主任の岡田和子教諭は、「授業では多様性のあるバランスの取れた教育課程を採用し、行事や課外活動では狂言や文楽などの日本文化に触れる機会も設けています」と語る。この方針はクラブ活動にも浸透し、音楽部や美術部に加え、繊維工芸部やグラフィクス部など珍しい活動が展開されている。
クラブ・同好会の加入率は中高合わせて90.5%と高く、岡田教諭は「創立者・跡見花蹊の教育方針を受け継ぎ、芸術系クラブが充実しているため、生徒が自分のやりたいことを見つけやすい環境が整っています」と説明する。
ダンス部:創部60周年を迎える人気クラブ
ダンス部は1965年に創部され、今年度で60周年を迎えた。部員数は120人で、同校で2番目に多い人気クラブだ。活動は月曜、水曜、金曜の放課後を中心に行われ、コンクールや文化祭前には土曜日も練習に充てられる。公演は4月公演や文化祭、全国中学校・高等学校ダンスコンクールなど多岐にわたり、部員たちはヒップホップやジャズなど様々なジャンルから自分が踊りたいものを選び、表現力を向上させている。
部長を務める高2の松原真琴さんは、「部員全員が明るく元気で、観客に楽しんでもらうことを目標に、公演のテーマや衣装などを自分たちで決めて練習しています。お互いにアドバイスし合い、高め合えるところが魅力です」と語る。また、練習前には部長が「返事、あいさつ、身だしなみ」などの声かけを行い、部員全員が復唱して生活態度やマナーの意識を高める伝統が受け継がれている。
謡曲仕舞同好会:創設70周年を控える伝統芸能クラブ
謡曲仕舞同好会は1956年に創設され、来年度で70周年を迎える。全国でも数校しかない珍しい同好会で、部員は11人と小規模ながら、水曜の放課後と土曜の午後に活動している。能楽師の観世淳夫氏から能の「謡」と「舞」の指導を受け、着物の着付けや和室での礼儀作法も学んでいる。
公演は文化祭や全国中高謡曲仕舞連盟大会など年3回行われ、能・狂言鑑賞教室では中2生全員の前で披露する機会もある。部長を務める高1の根本侑奈さんは、「着物の着付けや扇、太刀などの道具を使うのが特徴で、礼儀作法や敬語の使い方が身に付きました」と話す。また、オーストラリアへのターム留学では現地校の生徒に謡や舞を紹介し、伝統芸能が国際交流のきっかけにもなったという。
中高合同の活動と「あね・いもとの校風」
同校のクラブ活動は中高合同で行われ、上級生が下級生に指導することで技術や伝統が受け継がれている。ダンス部顧問の谷野直子教諭は、「中1の生徒が上級生に教わりながら成長し、自主的に動けるようになる姿に教育的効果を感じます」と語る。謡曲仕舞同好会の廣瀬里美教諭は、「上級生と下級生の交流に『あね・いもとの校風』が根付いており、コミュニケーション力やリーダーシップが育まれます」と説明する。
岡田教諭は、「クラブ活動は生徒が主体的に参加する場であり、『本物』に触れながら知識や技術を身に付け、健やかな心身を育んでほしい」と締めくくった。跡見学園では、芸術系クラブを通じて生徒たちが日々成長し、豊かな学校生活を送っている。



