南三陸で「きずな留学」一期生3人が卒業 震災の地で見つけた新たな夢と絆
南三陸「きずな留学」一期生卒業 震災の地で見つけた夢

南三陸で育まれた絆と成長 国内留学一期生3人が卒業

この春、宮城県南三陸町にある南三陸高校で、県外からやってきた国内留学生「きずな留学」の一期生3人が卒業を迎えました。2011年の東日本大震災で巨大津波に襲われ、多くの尊い命が失われたこの町で、彼らは親元を離れ、縁もゆかりもない土地で濃密な3年間を過ごし、それぞれの道へと巣立っていきました。

修学旅行が運命を変えた 不登校から夢を見つけた少女

一期生の一人、山形県鶴岡市出身の伊藤芽衣さん(18)にとって、南三陸町は中学3年生時の修学旅行先でした。当時、不登校がちで「気持ち的にも後ろ向きだった」と振り返る伊藤さんは、震災の語り部バスで女性が被災の様子や復興の道のりを語る姿に強く引き込まれました。

「地元を震災前よりも良くしていこうという思いがすごくて、聞いていてわくわくする話だった」と伊藤さんは語ります。「自分自身が当時は暗かったからこそ、聞いているうちに、がんばれば何事もどうにでもなるんだなあと思えた」と、語り部の話が心に深く響いたといいます。

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町の人々の明るさや生き生きとした様子に触れ、被災地に対する勝手な思い込みが覆された伊藤さんは、進学先を選ぶ時期に南三陸高校が「きずな留学」として全国募集を始めると知り、「これは行くしかない」と応募を決意しました。

防災の実践から学んだ自主性 首都圏から来た男子生徒の成長

残る一期生2人は首都圏からの男子生徒です。東京都東久留米市出身の有川颯さん(18)は、入学直後に参加した避難所運営訓練で大きな衝撃を受けました。地元の中学生たちが大人の指示を待たずにてきぱきと動き、炊き出しやけがの応急処置を行う姿に、防災は「自分で考えて自分で行動する」ことだと実感したといいます。

幼少時から消防や警察に憧れていた有川さんは、野球部に所属しながら防災の勉強に励み、2年生の秋には防災士の資格を取得。最終学年では防災クラブのチーフとして下級生をまとめるまでに成長しました。

横浜市神奈川区出身の小畑孝太朗さん(18)は「ほかの2人のような目標や問題意識があって来たわけじゃなく、とりあえず地元から出てみたかった」と好奇心から留学を決めました。実際に住んでみると南三陸の人々の温かさに触れ、親友もでき、夏休みには泊まりがけで地元の横浜を一緒に回るなど、深い絆を築きました。

苦手だった魚も気がつけば食べられるようになり、現在は観光学に興味を持ち、「大学でしっかり勉強してみようと思っている」と将来への展望を語ります。

震災の記憶と共に歩む町で育まれた未来への希望

南三陸町は人口1万人ちょっとの小さな町ながら、震災からの復興の歩みと共に、地域の魅力を発信し続けています。一期生3人は、それぞれが異なる背景や動機からこの地を訪れましたが、3年間で震災の記憶と向き合い、地域の人々との交流を通じて大きく成長しました。

伊藤さんは語り部の話に心動かされ、有川さんは防災の実践から自主性を学び、小畑さんは温かい人間関係の中で新たな興味を見つけました。3人が過ごした日々は、単なる高校生活を超え、震災の地で未来への希望を育む貴重な経験となりました。

「きずな留学」の一期生としての旅立ちは、南三陸町にとっても、震災から15年を経て新たな世代がこの地で学び、成長する姿を示す象徴的な出来事となっています。彼らがこの町で得た絆と学びは、これからの人生の礎となることでしょう。

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