広尾学園の中学入試、思考過程を重視した多角的な出題で総合学力を評価
広尾学園中学入試、思考過程重視の多角的出題で学力評価

広尾学園の中学入試、思考過程を重視した多角的な出題で総合学力を評価

2026年2月1日、東京都港区の広尾学園中学校・高等学校で、私立中学入試の解禁日に合わせた「第1回」と「第2回」の入試が実施された。受験生たちは、朝8時40分から夜6時50分まで、休憩を挟みながら4教科の試験に挑む長丁場の一日を過ごした。同校の出題は、情報を正確に読み取り、多角的に考え、的確に表現できる力を測ることを目指しており、単なる知識の暗記ではなく、「思考の過程」を総合的に問う内容が特徴だ。

緊張と期待が交錯する受験会場の様子

同日午後2時の開場前から、東京メトロ広尾駅近くの正門には、受験生と保護者が次々と徒歩で到着した。寒さが厳しい中、教員たちが朗らかに声をかけ、控室となる地下1階のアリーナへ案内する。日曜日とあって、両親そろっての参加や、兄弟姉妹を伴う家族の姿も見られ、控室では試験会場への案内を待つ緊張感が漂った。受験生同士では、「ここが第1志望。午前も受けた」「別の学校も受けて気合が入る」といった会話が交わされ、互いに励まし合う光景もあった。

第1回の試験は朝8時40分に開始され、国語、算数、理科、社会の4教科が11時50分まで実施された。教科間には10分間の休憩が設けられ、受験生は息をつく暇もないスケジュールをこなした。午後の第2回も同様に、午後3時40分から夜6時50分まで続く長丁場となった。昼休みには、午後の試験に備えておにぎりをほおばったり、保護者の肩に頭を乗せて仮眠を取る受験生の姿も見られ、体力と集中力が試される一日となった。

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多様な受験生が集まる国際的な環境

同日の午後入試の受験者数は857人で、本科550人と「インターナショナルスタンダードグループ(SG)」307人が同時に受験した。午後3時頃には、広尾駅から正門までの道に受験生と保護者の列が続き、周辺は大使館が並ぶエリアだけに、外国人も好奇の目を向けながら通り過ぎる様子が観察された。SG受験者と思われるグループでは、外国語で会話を交わしながら正門に向かう姿もあり、同校のグローバルな雰囲気が感じられた。

校舎1階のカフェレストランには受験生の受付が設けられ、ここで保護者と別れる仕組みになっていた。ロープで仕切られた空間では、「お守り持ったね?」と確認したり、ハイタッチを交わしたりする温かい一幕も。午後3時半には受験生が教室に着席し、試験開始直前まで参考書や問題集を開いてラストスパートをかける真剣な表情が印象的だった。社会の時事問題対策として、「重大ニュース」と書かれた本を熱心に読む受験生もおり、準備の入念さがうかがえた。

思考過程を重視した出題傾向と教育理念

広尾学園では、12月の帰国生入試を皮切りに、2月にかけて複数の入試が実施された。本科や「インターナショナルスタンダードグループ」では国算理社の4教科入試が行われ、「インターナショナルアドバンストグループ」では国・算・英と面接が課される。同校は海外大学進学者が多いグローバルな学校として知られるが、入試では暗記だけでは対応できない応用力や表現力を問う問題が多く、総合的な学力が求められる。

教務部統括部長の町田貴弘教諭は、試験の特徴について次のように説明する。「基礎的な学力を土台とした、考える力や表現する力を重視しています。問題に粘り強く向き合う姿勢や、物事を多角的にとらえる態度も重要な評価ポイントです。思考過程を重視した記述問題や応用力を問う問題を取り入れています」

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  • 国語:語彙力とその運用能力、読解力、自分の言葉で表現する力が問われる。
  • 算数:分析して考える力を重視し、答えに至る過程を評価。「医進・サイエンス」コースでは応用問題のみで、問題解決への姿勢や独自の思考過程を測る。
  • 理科:図やグラフの読み解きに加え、思考過程を示す論述問題が多い。「医進・サイエンス」では科学テーマや自然現象の本質に迫る出題もある。
  • 社会:地理・歴史・公民を均等に扱い、資料から情報を読み取り、背景や因果関係を整理する力や論理的な論述力を評価。

試験問題の傾向は昨年までと同様だが、グローバル化の進展に伴い同校の人気は高まっており、受験者の学力も年々向上しているという。町田教諭は「受験者の学力は年々向上しており、その意味では厳しい入試になっていると言えます」と指摘する。

「自律と共生」の理念に基づく教育方針

同校の教育理念は「自律と共生」であり、町田教諭は「知的好奇心を持ち、本格的な学びに魅力を感じる生徒を求めています。各コースで研究活動や国際的な活動を重視し、課題を発見し、仲間と協働しながら解決する力を育みます」と語る。さらに、「生徒一人一人が自分の可能性に気づき、積極的に挑戦しながら成長することを大切にしています。学習面ではフォローアップ講座などの支援体制を整え、きめ細かな指導を行っています。国内や海外の進路選択が可能な環境で、主体的に学びに向き合い、伸び伸びと学校生活を送ってほしい」と願いを込めた。

この入試を通じて、広尾学園が求めるのは、単なる学力ではなく、思考の深さと多角的な視点を持つ生徒像であることが鮮明になった。受験生たちの緊張した表情の裏には、そんな期待に応えようとする熱意が感じられた一日だった。