愛知県安城市出身の若山章信教授(62)が4月、東京女子体育大学(東京都国立市)の新学長に就任した。若山学長は高校・大学時代にやり投げ競技に打ち込み、その経験を基に研究の道を志したという。学長室でのインタビューでは、これまでの歩みとともに、18歳人口が減少する少子化の中で大学運営に臨む意気込みを語った。
やり投げとの出会い
若山学長は安城東高校でやり投げを始めた。当初は野球部に入部したが、2年生で陸上部に転部し、顧問の勧めでやり投げを開始。練習開始から1カ月後の県記録会で優勝し、その後国体県予選でも優勝した。筑波大学3年生だった1984年、ロサンゼルス五輪の代表最終選考会では8位となり、五輪出場は叶わなかった。
研究者への転身
競技者から研究者へと転身したきっかけは、肩の手術を受けた際に医師から「患部が思ったよりひどい。研究の道に進め」と勧められたことだった。現在の研究分野はバイオメカニクス、すなわち人間の身体動作を物理的に解析する学問である。例えば、野球で150キロの球を投げる際の肘の使い方やエネルギーの伝達方法などを研究する。
「スポーツを科学する」ことの重要性について、若山学長は1991年の東京世界陸上を例に挙げる。日本陸連の短距離班が各国選手の動作を動画解析したことで練習法が変わり、記録が伸びたという。「昔は『ももを上げて走れ』と言われていたが、今は『膝を伸ばさず地面を押して走れ』と指導される。走り方そのものより、指導者の考え方が変わった」と説明する。
女子大経営の課題と強み
4月に学長に就任した若山氏は、少子化の中で女子大運営が厳しい状況にあると認める。「共学化する大学は多いが、当学は施設の広さに限界があり、共学化で学生が増える保証もない。非常に厳しい状況だ」と語る。一方で、東京女子体育大学の強みとして、卒業生の多くが中学・高校の体育教師として現場で高い評価を得ている点を挙げる。「体育祭の運営などでリーダーシップを発揮できる。共学校では男子がリーダーになりがちだが、スポーツ系女子大では女子がリーダーシップを取る機会が多い」。また、短大では小学校・幼稚園教諭や保育士の資格取得が可能で、「地域のエッセンシャルワーカーを育成している」との自覚を持って運営している。
西三河の女子高生へメッセージ
若山学長は、スポーツに関心のある西三河の女子高生に向けて、「県内では中京大が有名だが、女子だけの環境でスポーツに集中したい、関東で学びたいという気持ちがあれば、ぜひ東京女子体育大学を選択肢に加えてほしい。国立市は文教地区で落ち着いた良い街です」とPRした。
若山章信(わかやま・あきのぶ)氏は1964年生まれ。安城東高校、筑波大学を卒業後、東京大学大学院で博士(学術)を取得。1998年に東京女子体育大学の講師に採用され、2001年に助教授、2008年に教授に就任。地元愛が強く、同級会など地元の集まりには可能な限り参加している。



