被爆の悲惨な展示、子どもは見学回避可能に?原爆資料館の新方針に賛否の声
被爆の悲惨な展示、子どもは見学回避可能?原爆資料館の新方針に賛否

広島平和記念資料館(広島市)は、子どもたちが原爆被害の凄惨(せいさん)な展示を見学しない選択ができる「選択展示」の導入を決定した。これは、子どもの心理的なストレスを考慮した対応だが、1955年の開館以来「被爆の実相をありのまま見てもらう」ことを理念としてきた資料館にとっては大きな転換点となる。被爆者からは「悲惨さを遠ざけることになる」と懸念の声が上がっている。

選択展示導入の背景

資料館の2025年度の入館者数は約258万人に達し、10年前の約1.7倍に増加。館内の混雑が慢性化している。修学旅行生らが平和学習にしっかり取り組めるよう、2028年春に小学5年生から中学生向けの展示コーナーを新設する予定で、ここに選択展示を導入する。

アンケートがきっかけに

選択展示の検討は、資料館を運営する広島平和文化センターが2024年に実施したアンケートが発端だ。修学旅行で広島を訪れた全国の小中高校1121校を対象にした調査で、「展示を『怖い』と感じて見学できない児童への支援があれば」という意見が寄せられた。

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子どものストレス反応

有識者会議の委員を務める上手由香・広島大大学院准教授(臨床心理学)が、来館した児童・生徒約30人に聞き取り調査を実施。重いやけどを負った被爆者の写真や、皮膚を垂らしながら避難する様子の絵を見た児童・生徒からは「夢に出てくる」などのストレス反応が確認された。恐怖や悲しみは年齢が低いほど長く続く傾向も明らかになった。

賛否両論の反応

この方針に対し、被爆者団体からは「被爆の悲惨さを直接伝えることが平和教育の根幹であり、選択展示ではその意義が損なわれる」との批判がある。一方、心理学者や教育関係者からは「子どもの心のケアを優先するのは当然」と支持する声も上がっている。

今後の課題

資料館は、選択展示の具体的な内容や対象年齢、展示方法について、今後さらに検討を進める方針だ。被爆の実相を伝えることと子どもの心理的負担を軽減することのバランスをどう取るかが、今後の課題となる。

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