滋賀県守山市で高齢者見守り実証実験、IoT技術で安否確認の新たな可能性と課題を探る
独り暮らしの高齢者が日々を安全に暮らせているかを見守る実証実験が、昨年秋から今年3月末にかけて滋賀県守山市で実施されました。この実験では、単3電池型のIoT(モノのインターネット)機器を活用し、家電製品の使用状況から離れて暮らす家族などが安否状況を確認できる仕組みが検証されました。誰もが抱える将来の不安解消に向けたサービスとして、注目が集まっています。
「みまもり電池」による安否確認の仕組みと実証実験の詳細
IT会社「ノバルス」(東京都)が提供する「みまもり電池」は、単3電池大のセンサーに単4電池を組み込んだデバイスです。テレビのリモコンやセンサー照明、煙感知器などに取り付けられ、リモコンのボタンを押したり、センサー照明が点灯したりすると、信号が離れた場所に住む家族のスマートフォンの専用アプリに送信されます。24時間にわたって一度も使用がなければ、警告が届く仕組みとなっています。
実証実験は昨年11月から3世帯を対象に実施されました。最後の利用から24時間が経過しても家電が使われない場合、自治会長や民生委員の携帯電話に警告メールが送信されます。2月27日には安否確認訓練が行われ、警告メールを受信した自治会長や民生委員が高齢者宅に駆けつけ、緊急時の対応手順や課題を確認しました。実験に参加した82歳の女性は「もしものことを考えると、とても助かる」と感想を述べています。
地域ぐるみの利用における期待と課題の両面
民生委員からは「センサー照明の明かりがつくと、見守られているとわかって安心する」という声が寄せられました。自治会長(69歳)も「見守る側にとっても安心です。上手に使えば万一の時に命を助けられる」と期待を表明しています。
しかし、電池を外すだけでも警告メールが送信されるため、使い方がよくわからない高齢者が不用意に触って警告メールが送信され、その度に自治会長らが駆けつける事例も発生しました。訓練後には「センサー照明はお年寄りが触れない高い位置に置く方がいい」「毎回すぐに駆けつけるのではなく、まず電話で確認するようにしてはどうか」といった意見が交わされ、運用面での改善点が浮き彫りになりました。
みまもり電池は1個2980円(税抜き)で販売されており、スマホアプリと連携すれば、有料で独り暮らし高齢者と離れて暮らす家族の間で利用することも可能です。しかし、地域ぐるみでの利用には、対象者の安全と、それを見守る側の負担や責任との折り合いをどうつけるかという点で、まだハードルがあるようです。
行政の責任と公平性が技術導入の壁に、今後の展望
3月20日に行われた成果報告会では、森中高史市長が「行政の『責任と公平性』が、新しい技術を導入する際の壁になることが実証実験を通じて浮き彫りになった。しかし、課題が見えたことが収穫だ」と総括しました。この実験は、より良い仕組みづくりへのきっかけになるとの見方が示されています。
高齢化社会が進む中、IoT技術を活用した見守りサービスは、地域福祉の向上に貢献する可能性を秘めています。滋賀県守山市での実証実験は、その実用化に向けた一歩として、技術面だけでなく、社会制度やコミュニティの在り方にも光を当てる貴重な事例となりました。



