認知症の母が語る「永遠の75歳」、記憶の彼方に残る優しさと笑顔
母の「永遠の75歳」、記憶の彼方に残る優しさ (20.03.2026)

「75歳」と答える83歳の母、記憶の彼方に残る優しさ

大阪府東大阪市に住む松下千代さん(59)は、認知症を患う83歳の母との日常に、深い感動と切なさを感じている。母は、自分の年齢を尋ねられると、決まって「75歳」と答える。千代さんが「違うで、もう83歳やで」と訂正すると、母は毎回「もうそんなに年とったん!」と驚きの表情を見せる。このやり取りは、母の記憶が少しずつ薄れていく中で、変わらない習慣となっている。

記憶が怪しくなり始めたきっかけ

母の記憶が曖昧になってきた最初の兆候は、かわいい孫の誕生日を忘れ始めたことだった。以前は、盛りだくさんの「ばあちゃん飯」を振る舞い、ケーキやプレゼントを準備するなど、至れり尽くせりのおばあちゃんだった。しかし、時間の経過とともに、記憶を保持する感覚が短くなっていった。昨年の夏には、椅子に座りそこねて腰を圧迫骨折し、入院を余儀なくされた。さらに、病院のベッドから転落し、大腿骨も骨折するという、あっという間の出来事が続いた。

笑顔を絶やさない母の理由

入院生活の中で、母は娘の顔の判別さえ怪しくなってきた。しかし、病院の看護師たちは、母がいつも笑顔を絶やさないため、「介護しやすい」と口を揃えて言う。千代さんが母に「なんでいつも笑っているの?」と尋ねると、母はこう答えた。「だってみんなに迷惑かけているから、笑ってないとあかんと思ってね」。その言葉を聞いた瞬間、料理上手でしっかりものだったかつての母の姿がよみがえり、千代さんは涙がこぼれ落ちそうになった。

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記憶の奥底に残る人生の知恵

母はすべてを忘れてしまったわけではない。彼女なりに人生を考えながら、今を懸命に生きているのだ。千代さんは、母が「永遠の75歳」と自称しながらも、83歳の現実に驚きつつ、これからもほほ笑みを絶やさずにいてほしいと願っている。このエピソードは、認知症という病と向き合う家族の絆と、記憶の彼方に残る人間の優しさを鮮明に映し出している。

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