内閣府が19日に発表した2026年1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)は年率換算で2.1%のプラスとなった。しかし、先行きは中東情勢の混迷により見通しが難しい。仮に原油やナフサの供給が維持できたとしても、輸入に依存する必需品の価格高騰が続けば、日本経済に大きな打撃を与える恐れがある。過去に輸入品物価の上昇率が大きかった事例では、どのような影響があったのか。
過去の類似局面
似たような局面は過去に3回あった。2度の石油危機と、コロナ禍からの回復後にロシアがウクライナに侵攻した2021~22年ごろである。輸入品の物価全体の上昇率は、それぞれの時期の前後2年間で、第1次石油危機時は106%、第2次は87%、ウクライナ侵攻時でも75%に達した。
交易条件の悪化と所得流出
輸入品の価格が輸出品よりも上昇する「交易条件の悪化」が発生すると、日本全体として所得が国外に流出する。統計の基準変更により厳密な比較は難しいが、第1次石油危機前後では2年間で当時の実質GDPの約2%、第2次とウクライナ侵攻時には3%強が流出したと推定される。
負担の分担が焦点
元内閣府政策統括官で日本経済研究センター研究顧問の齋藤潤氏は、原油価格の上昇により日本全体で負担が生じることは避けられないと指摘し、「問題は『誰が負担するか』だ」と述べる。負担の分担によって、経済への影響の仕方が変わるからである。
第1次石油危機時には、企業が価格転嫁を進め、消費者が物価上昇を負担した。第2次石油危機では、企業がコスト吸収に努めたため、雇用や賃金に影響が出た。ウクライナ侵攻時には、政府が補助金で家計を支援したが、財政負担が増大した。今後、中東情勢の緊迫化に伴い、同様の局面が再び訪れる可能性がある。



