小笠原諸島、動物持ち込みを申告制に 外来種防止へ規制強化
小笠原諸島、動物持ち込み申告制に 外来種防止へ

世界自然遺産の小笠原諸島(東京都小笠原村)で、絶滅が危惧される固有種の動植物を守るための条例が4月から強化された。島に持ち込む動物の種類や数などの事前申告義務が新たに加わり、将来的には、持ち込める動物そのものの制限も検討している。全国的にも珍しい規制で、自然保護を徹底する背景は何か。(中根政人)

固有種がピンチ…1998年に「ネコ条例」を制定

「厳しい規制に取り組む目的は『新たな外来種を発生させない』。この一点です」。小笠原村の石原洋介環境課長は21日、「こちら特報部」の取材に、小笠原諸島の自然を守り抜く重要性を強調した。

小笠原では、島外から持ち込まれたペット用の猫が野生化し、希少な動物にとって脅威となってきた。島固有の「アカガシラカラスバト」は一時、猫による捕食などで生息数が数十羽単位にまで減少し、絶滅の危機に陥った。村では1998年に、飼い猫の飼育管理の徹底を求める全国初の「飼いネコ適正飼養条例」(ネコ条例)を制定。その後、マイクロチップ装着の義務化に取り組んだ。

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環境を守るため「全ての動物」にバージョンアップ

一方で、小笠原では猫以外にも外来種のヤギやネズミ、トカゲなどによる食害も深刻だった。環境省の推定では、鳥の「オガサワラカワラヒワ」は個体数が200羽程度にまで減少。植物の「コヘラナレン」も数十株単位しか確認できない状態になっているという。

小笠原諸島は2011年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界自然遺産に登録された。野生の動植物の生息環境がこれ以上悪化しないよう、村は2020年、ネコ条例をバージョンアップする形で、全ての動物を対象とする「愛玩動物の適正な飼養及び管理に関する条例」(ペット条例)を新たに制定した。

いずれは「持ち込み可能」の動物の種類を限定へ

ペット条例は、制定段階から、規制を段階的に強めていく設計となっている。第1段階では、ペット飼育を登録制とすることや、猫の避妊・去勢手術の義務化などを盛り込んだ。

4月からの規制強化は第2段階に位置付けられる。本州から小笠原諸島へ渡航できる公共交通は、東京・竹芝桟橋から24時間かけて父島を結ぶ定期船の「おがさわら丸」のみ。船の乗客に対して、持ち込む動物の数や種類などを事前に村に申し出るよう求める。

最終段階では、おおむね4~5年後に、繁殖しやすい特性のある動物や肉食性の動物の野生化を避けるため、持ち込み可能な動物の種類を限定する方向で準備を進めている。石原氏は「観光客の皆さんにも、島の自然を守る意識を持ってほしい」と呼びかける。

「国が最低限度のガイドラインを示すべき」

小笠原諸島では、食害の「加害者」となりうる猫の殺処分を防ぐ活動にも力を入れている。飼い猫は室内での飼育を求める一方、野生化した猫(ノネコ)は、東京都獣医師会の協力によって里親に譲渡する形をとっている。主体的に関与するNPO法人「小笠原自然文化研究所」の堀越和夫理事長は「そもそも、人間が持ち込んだ飼い猫によって発生した問題だが、殺処分をしないことで猫も野生動物も幸せになれる方法だ」と意義を訴える。

小笠原村の取り組みは他の地域でも適用可能なのか。動物関連の行政問題に詳しい神奈川大の諸坂佐利准教授(公共政策学)は「地域の事情に即して地方自治体が対応すべきだが、政策展開の目安となるよう、国が最低限のガイドラインを策定して示すべきだ。国の基準では不十分だと判断した自治体が独自の条例で規制などを強化することが望ましい」と提言する。

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