室蘭PCB無害化処理施設、18年の歴史に幕 最後のスラグ搬出完了
北海道室蘭市にある高濃度ポリ塩化ビフェニール(PCB)無害化処理施設において、18年間にわたる処理作業がついに終了しました。3月19日には、無害化処理を終えたガラス状のかすであるスラグの搬出が実施され、長きにわたるプロジェクトが一つの区切りを迎えました。
国内PCB廃棄物処理の集大成
同市には環境省の特殊会社「中間貯蔵・環境安全事業」(JESCO)の北海道処理事業所が設置されており、2008年から国内の事業所などから発生したコンデンサーや安定器といった高濃度PCB廃棄物の処理を担ってきました。2024年3月には、北九州市や大阪市、愛知県豊田市にあるJESCOの3事業所が処理を終了したため、それらの廃棄物も国の要請に基づき受け入れ、追加処理を行ってきた経緯があります。
室蘭の事業所では昨年12月に最後の廃棄物を受け入れ、今年2月から無害化の最終処理を開始。この日は、スラグ約1.4トンが入った専用容器を他の容器とともに事業所外へ搬出しました。搬出されたスラグは、道内の中間処理場で銅などのリサイクルが行われ、残りは最終廃棄処分される予定です。
膨大な処理実績と今後の展望
JESCOによると、室蘭の事業所では変圧器約4100台、コンデンサー約7万1000台、安定器約1万1000トンが最終処理され、PCBの分解量は約2900トンに上ります。4月以降には建物の解体工事が始まり、建物自体の無害化処理も行われるため、2033年度末まで作業が続く見込みです。
渡辺謙二・北海道PCB処理事業所長は、「事故もなくこの日を迎えられたのは地元の協力あってのことで、大きな仕事が終わったという気持ちだ」と感慨深げに語りました。
後継事業への期待と循環型産業への転換
室蘭市は、PCB廃棄物処理に代わる後継事業の誘致を国に求めており、新たな循環型産業の拠点としての発展を目指しています。環境省が昨年暮れに同市で開催した連絡会議では、基幹産業である鉄鋼業から排出される金属くずやスラグ、廃プラスチック類など8種類の再資源化について、採算性を考慮しながら時間をかけて検討することが決定されました。これにより、地域経済の活性化と環境保全の両立が期待されています。



