「動かない鳥」ハシビロコウの繁殖に千葉市動物公園が挑戦 アジア初の成功目指す
絶滅危惧種として知られるハシビロコウの繁殖に、千葉市動物公園が本格的な挑戦を開始した。同園はこの鳥の成育環境を再現した新たな展示空間を整備し、2028年のオープンを目指している。繁殖に成功すれば、ベルギーや米国などに続く世界で4例目、アジアでは初めての快挙となる。
羽を広げて飛べる環境を整備 ストレス軽減が鍵
アフリカ中央部の湿地帯を主な生息地とするハシビロコウは、その巨大なくちばしと鋭い目が特徴だ。千葉市動物公園には推定20歳の雄「じっと」と、36~38歳の雌「しずか」の2羽が飼育されている。現在は狭いおりで展示されているが、新計画では羽を広げて飛翔できる高さと広さを備えた展示場を設置する。
神戸どうぶつ王国にある高さ8メートルのネットで囲った展示場を参考に、より自然に近い環境を目指す。園の担当者は「現状では3回ほど羽ばたけば金網にぶつかってしまう。ストレスのない、生息地に近い環境でなければ繁殖は難しい」と語り、環境整備の重要性を強調した。
繁殖の難しさと期待される雌「しずか」
ハシビロコウは単独行動を好み、雄雌が近づくと威嚇し合う習性があるため、繁殖が極めて困難とされる。同園では2羽の接触機会を増やすなど、繁殖行動を促す努力を続けてきたが、求愛行動や交尾には至っていない。
しかし、雌の「しずか」には国内で唯一、卵を産んだ実績がある。2004年から数年おきに5回の産卵があり、2025年5月から8月にかけては5回も産卵した。いずれも無精卵だったが、繁殖可能な個体として大きな期待が寄せられている。
動物園の理念とアジア初への意気込み
鏑木一誠園長は「野生種を守ることが動物園の理念だ」と述べ、「じっと」と「しずか」が本来の生態を再現できる環境整備を進めたいと語った。さらに「アジア初を狙っています」と意気込みを表明し、繁殖成功への強い決意を示した。
同園では別の個体の導入も検討しているが、現状では「じっと」との繁殖促進に注力する方針だ。新展示場の完成により、ハシビロコウの生態に適した環境が整い、アジア初の繁殖成功への道が開かれることが期待されている。



