神奈川県警で巡査部長主導の不正取り締まり、閉鎖性が背景に警官7人書類送検
神奈川県警で巡査部長主導の不正取り締まり、7人書類送検 (20.02.2026)

神奈川県警で巡査部長主導の不正取り締まり、閉鎖性が背景に警官7人書類送検

神奈川県警は20日、不適切な方法でスピード違反を取り締まったなどとして、2716件の交通違反を取り消すと発表しました。交通反則金約3400万円を返還し、約1100件を対象に、運転免許区分を「一般」から「優良」に戻すなどの対応も取ります。不正を主導したのは「経験豊富な取り締まりのプロ」と評される40歳代の巡査部長で、周囲が異を唱えることはなかったとされています。

取り締まりの信頼を損なったと陳謝、処分と書類送検を実施

県警の今村剛本部長は20日の臨時記者会見で、「取り締まりに対する信頼を大きく損なった」と陳謝しました。問題に絡み、警察庁と県警は退職者5人を含む24人の処分を発表。現職の懲戒処分者は8人で、不正を主導した巡査部長は免職としました。2024年当時の和田薫・県警本部長らは口頭厳重注意などとされました。

さらに、県警は交通反則切符に虚偽の記載をしたなどとして、第2交通機動隊第2中隊の第4小隊に所属していた7人を虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで横浜地検に書類送検しました。巡査部長は県警の調べに「一件でも多く取り締まりたかった。間違った正義感だった」と話しています。

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閉鎖的な組織環境が不正を助長、取り締まり方法もずさん

不正の背景には第4小隊の「閉鎖性」があります。巡査部長は成績優秀者として表彰されたこともあり、同僚隊員は「無理な取り締まりが嫌で仕方ない」と思っても、意見を伝えることはできませんでした。隊員が他部署の警察官と交流する機会は少なく、県警本部の目も届いていなかったと指摘されています。

取り締まり方法は非常にずさんでした。警察車両による追尾では、対象車両が追尾に気づいて減速した場合も、短い区間で取り締まっていたといいます。交通反則切符に100メートルと記載した追尾距離が、実際には30メートル未満だったこともあると報告されています。

また、違反者が取り締まり時に交通反則切符の受け取りを拒んだ場合、警察は後日に実況見分を行いますが、巡査部長は同僚らに同行を求められても拒否。同僚らは現場に出向かず、調書を偽造していたことが明らかになりました。

ノルマと受け取られかねない「水準」が示され、再発防止策を検討

県警内では昨年4月まで、過去の取り締まり件数などに基づいた「水準」が示され、ノルマとも受け取られかねない状況でした。取り締まりは事故抑止が目的ですが、件数を増やすことが目的化した可能性も否定できません。警察庁幹部は「誤解を招く数字で適切ではなかった」と非難しています。

警察庁と都道府県警本部は再発防止策として、捜査書類を点検する「巡回指導官チーム」を新設。警察官に取り締まりの基本や捜査書類の作成を指導する方針です。

全国で相次ぐ交通違反取り締まりの不正、信頼回復が課題

一連の不正は、2024年に取り締まりを受けた人からの相談で発覚しました。不祥事対応に詳しい同志社大の太田肇名誉教授(組織論)は、「相談がなければ不正は増え続けていた可能性がある」と指摘。信頼回復に向け、「取り締まり状況や苦情の内容など捜査に支障がない範囲の情報を開示することが重要だ」と語っています。

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交通違反の取り締まりでは、各地の警察で書類やデータの偽造といった不正が相次いでいます。例えば、福岡県警では2023年に虚偽の書類作成で警部補が書類送検され、北海道警では2020年にデータ偽造で警部補が逮捕されるなど、類似の事例が報告されています。栃木県警では2012年、速度測定装置の設定ミスにより4000件超の誤った取り締まりが行われたケースもあり、制度の見直しが求められています。