6年ぶりのレッドリスト改訂、保全活動の成果でタンチョウとトキの絶滅リスクが低下
環境省は3月17日、絶滅の恐れがある野生生物をまとめた「レッドリスト」の改訂を発表しました。特に注目されるのは、国の特別天然記念物であるタンチョウとトキの保全状況が改善し、絶滅リスクが低下した点です。
タンチョウが絶滅危惧種から外れる
今回の改訂で、タンチョウはこれまでの絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧にランクが一つ下がり、絶滅危惧種から外れました。国内では1952年にわずか33羽まで個体数が減少しましたが、長年にわたる保全活動の成果が実を結び、徐々に回復を遂げています。
現在、北海道に生息する成鳥数は推定1200羽程度とされていますが、実際にはさらに多い可能性が高いと専門家は指摘しています。羽を広げて優雅に舞うタンチョウの姿が、今後も日本の空で見られることが期待されます。
トキの保全状況も改善
同様に、トキの保全状況も改善が見られました。絶滅危惧種の中で最も絶滅の恐れが高いⅠA類から、一つ下のⅠB類にランクが下がりました。江戸時代まで全国に分布していたと考えられるトキは、明治から大正時代にかけて激減しましたが、保護活動が実を結びつつあります。
2024年末時点では、新潟県佐渡島に放鳥した個体などを中心に、500羽以上が生息していると推定されています。空を舞うトキの中にはマーキングされており、羽の一部が青い個体も確認されています。
奄美大島の鳥類も回復傾向
鹿児島県奄美大島などに生息するアマミヤマシギも、絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に評価が変わりました。外来捕食者であるマングースの根絶や森林伐採の減少により、森林環境が回復し、個体数が緩やかに増加傾向にあることが要因です。
また、奄美大島固有種のオオトラツグミも、絶滅危惧Ⅱ類から準絶滅危惧に一段階ランクが下がりました。これらの成果は、地域全体での保全努力が実を結んだ証と言えるでしょう。
新たな絶滅危惧種の指定
一方で、今回の改訂ではニホンイシガメなどが初めて絶滅危惧種に加わりました。絶滅危惧種の総数は6年前から増加しており、保全活動が成果を上げる種がある一方で、新たな危機に直面する生物も存在することが浮き彫りになりました。
環境省は、絶滅危惧種についてリスクの程度を3段階で評価しており、状況が変われば絶滅危惧種になる恐れがあるものを「準絶滅危惧」として掲載しています。今回の改訂は、鳥類、爬虫類、両生類の分類群について6年ぶりに行われたものです。
野生生物の保全は継続的な取り組みが不可欠であり、今回のレッドリスト改訂は、その成果と課題の両方を明確に示すものとなりました。今後も科学的な調査に基づいた適切な保護策が求められています。



