スキー場のベルトコンベヤー式移動設備 国が事故実態調査を開始
消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は2026年3月24日、スキー場で使用されているベルトコンベヤー式の移動設備に関する実態調査を開始すると正式に発表しました。この調査は、北海道と長野県で相次いで発生した子どもの重大事故を受けたもので、今後の安全対策提言に向けた基礎資料の収集を目的としています。
死亡事故と重傷事故の発生状況
調査開始の直接的な契機となったのは、北海道小樽市の朝里川温泉スキー場で2025年12月に発生した死亡事故です。当時5歳の男児が、駐車場からゲレンデに向かう屋外に設置されたベルトコンベヤー式設備の降り口付近で、右腕を巻き込み口に巻き込まれて死亡しました。死因は、一緒に巻き込まれた着衣が首などを強く圧迫したことによる窒息と確認されています。
さらに、長野県のスキー場では2025年2月にも同様の事故が発生しています。児童が降り口で転倒し、着衣の一部がベルトコンベヤーに巻き込まれて首が圧迫され、一時的に意識不明となる重傷を負う事態が起きていました。
設備の特徴と輸入状況
消費者庁によると、問題となっているベルトコンベヤー式移動設備は、国内の複数のスキー場で導入されており、特に子ども向けのゲレンデや初心者コースなどに設置されるケースが多いとされています。この設備は通常のエスカレーターとは異なり、手すりがなく、足元のベルト幅は約60センチ程度という特徴を持っています。
また、これらの設備の多くは中国など海外からの輸入品であるとみられており、国内での安全基準の適用やメンテナンス状況についても調査対象となる見込みです。
捜査と調査の並行進行
北海道警察は、小樽市で発生した死亡事故について、業務上過失致死の容疑で関係先に対する家宅捜索を実施しています。事故当時の具体的な状況や根本的な原因の解明に向けた捜査を進めている状況です。
一方、消費者事故調は行政機関として、同種設備が設置されている全国のスキー場における使用実態や事故発生状況、安全管理体制などについて包括的な調査を開始しました。この調査結果をもとに、今後の安全対策に関する具体的な提言を行う方針を示しています。
今後の調査展開と安全対策への期待
消費者事故調の調査では、ベルトコンベヤー式移動設備の設計上の課題、利用者への注意喚起の適切性、定期点検の実施状況など、多角的な観点から検証が行われる予定です。特に子どもや初心者スキーヤーが多く利用する設備であることから、年齢層に応じた安全対策の必要性が指摘されています。
今回の調査開始は、レジャー施設における安全基準の見直しや、輸入製品に対する国内規制の在り方についても議論を喚起するものと期待されています。消費者庁は調査結果を速やかに公表し、関係機関と連携しながら実効性のある安全対策の確立を目指す方針です。



