映画「天上の花」脚本改変訴訟、脚本家の敗訴が確定
2022年に公開された映画「天上の花」の脚本を同意なく書き換えられたとして、脚本家の女性が共同脚本家の荒井晴彦氏に賠償を求めた訴訟で、最高裁判所第三小法廷(石兼公博裁判長)は3月18日付の決定で、女性側の上告を退けました。これにより、女性の逆転敗訴とした二審・大阪高等裁判所の判決が確定しました。
脚本改変を巡る法的争いの経緯
この映画は、女性脚本家にとってデビュー作であり、荒井氏の指導を受けながら第10稿を執筆しました。しかし、実際に採用された「完成稿」は、荒井氏が登場人物の性格などを修正した第12稿でした。女性は、著作者が意に反する改変を拒める「同一性保持権」の侵害を主張し、訴訟を提起しました。
一審の大阪地方裁判所は、この主張を認め、荒井氏に5万5千円の賠償を命じる判決を下しました。しかし、二審の大阪高等裁判所は、共同脚本家となった荒井氏の創作が加わることを女性も認めていたと指摘し、「同意の範囲内で改変された」と判断して女性の請求を棄却しました。
最高裁の判断と今後の影響
最高裁第三小法廷は、決定において、上告理由にあたる憲法違反などがないとだけ判断し、上告を退けました。この決定により、脚本家の敗訴が法的に確定しました。
この訴訟は、脚本の変更がどこまで許容されるのか、共同作業における著作者人格権の範囲を問う重要なケースとして注目を集めています。特に、SNSなどで可視化されやすい創作プロセスにおいて、法的な保護の境界が議論される契機となりました。
映画産業や創作活動において、共同作業が増える中で、同意の範囲や権利侵害の線引きが今後も課題となる可能性があります。この判決は、類似の著作権トラブルにおける一つの基準を示すものとして、関係者から関心を集めています。



