佐賀県警DNA鑑定不正、発覚後も資料整理で不適切行為の可能性
佐賀県警科学捜査研究所の元職員によるDNA型鑑定不正事件で、県警が不正を把握した後も、元職員は鑑定資料を扱う作業の一部を担当し、不正を行うことが可能な状態だったことが明らかになった。県警が2026年3月28日に発表した内容によると、内部管理体制の重大な問題が浮き彫りとなっている。
発覚後も継続した資料整理作業
佐賀地方検察庁は2月、虚偽有印公文書作成・同行使と証拠隠滅の罪で元職員を在宅起訴した。起訴状などによると、元職員は事件捜査のため嘱託された鑑定業務の手間を省こうと考え、2023年8月から2024年7月にかけて9回にわたり、実際にはDNA型鑑定作業を行っていないのに実施したとの虚偽を記載した文書を上司らに提出。さらに、鑑定資料の残りを紛失した事実を隠蔽するため、2024年2月から2025年2月にかけて4回にわたり、資料に偽装したガーゼ片などを保管したとされている。
県警は2024年10月に不正について把握したが、在宅起訴された13件のうち2件の時期は、その後の期間に該当していた。県警によると、不正発覚を受け、元職員を鑑定業務から外し、2025年3月までの間は「事務作業のみに従事させていた」と説明していた。
内部管理の甘さが露呈
しかし、3月28日に県警が明らかにしたところでは、この事務作業の中には、本人がかかわった鑑定資料の残りを警察署に返還するための整理作業も含まれていた。元職員が関わった鑑定を再鑑定するため、残った鑑定資料を回収し終えたのは、2025年2月7日になってからだった。
残った鑑定資料は、鑑定を行う部屋とは別の場所で、元職員が事務作業をしていた執務室内の作業台に置かれていた。県警は「不適切な取り扱いをすることは可能であったと考えている」と認めており、発覚後も適切な隔離措置が取られていなかった実態が明らかになった。
不正期間と起訴内容の不一致
県警はこれまで、起訴されたものを含め、元職員による不適切な鑑定130件の時期を「2017年6月から2024年10月」と説明していた。しかし、起訴内容との期間にずれが生じている点について、福田英之佐賀県警本部長は3月27日の定例記者会見で「まずは公判を通じて、起訴状記載の事実の認定がどのように行われたのかについて確認する必要がある」と述べ、今後の裁判での認定を待つ姿勢を示した。
事件の経緯と問題点
佐賀県警科捜研元職員によるDNA型鑑定不正問題の経緯は以下の通りである。
- 2017年6月:職員による不正が始まる
- 2024年10月:不正が発覚。県警が調査開始
- 職員は鑑定作業から外れるも、鑑定の残りの資料を整理する作業は実施
- 2025年2月:職員のかかわった鑑定の残りの資料を回収
- 2025年3月:職員は事務作業からも外れる
この事件は、科学捜査の信頼性を揺るがす重大な問題であり、県警内部の管理体制の「緩さ」が露呈した形となった。DNA型鑑定は年間20万件以上実施され、刑事捜査に欠かせない技術とされているだけに、再発防止策の徹底が求められている。



