東京地裁、東京都神社庁元職員のパワハラ訴えを棄却 前庁長の叱責は「相当な範囲超えず」
東京地裁、神社庁元職員のパワハラ訴え棄却 叱責は「相当な範囲超えず」

東京都神社庁元職員のパワハラ訴え、東京地裁が棄却 前庁長の叱責は「相当な範囲内」と判断

宗教法人「東京都神社庁」の元幹部による業務上横領事件を巡り、不正の証拠資料を外部に提供した元職員の男性が、前庁長から激しい叱責を受けて体調を崩したとして損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は男性の請求を棄却した。判決は2026年3月26日付。

横領事件の告発と内部情報漏洩を巡る経緯

判決によると、男性は2022年12月、同庁名義の銀行口座から計2580万円を横領した元幹部の不正を前庁長に報告した。その後、男性は事態の隠蔽を懸念し、友人関係にある国会議員秘書ら3人に通帳のコピーを送付した。この行動に対し、前庁長は男性を問い詰め、大声で怒鳴りながら平手で机を数回たたくなどの叱責を行った。

原告の男性はその後、適応障害と診断され、休職を経て退職に至った。男性は前庁長に対し、パワハラによる精神的苦痛として400万円の損害賠償を求める訴訟を提起していた。

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裁判所の判断 「指導の必要があり、相当な範囲内」

桑原真貴裁判官は判決で、男性が送付した資料の宛先が友人であり、隠蔽の懸念も高くなかったと指摘。内部情報の漏洩は服務規律違反に当たると認定した。その上で、前庁長には指導の必要性があり、叱責は短時間の1回に留まり、「客観的にみて相当な範囲を超えるとまでは認めがたい」と述べ、パワハラとする男性の主張を退けた。

当初の訴訟では東京都神社庁も被告に含まれていたが、同庁は解決金80万円を支払い和解が成立している。横領事件の元幹部は懲戒解雇処分となり、業務上横領罪で懲役3年、執行猶予5年の判決が確定済みだ。

この判決は、組織内部での不正告発と情報管理のバランス、および上司の指導権限の範囲について、司法の見解を示す事例となった。裁判所は、内部通報者の保護と組織の規律維持の両面を考慮し、本案では指導行為が逸脱していないと判断した形だ。

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