前橋刑務所が初の市民見学会を開催 「塀の中」の世界を公開
群馬県前橋市南町にある前橋刑務所は、2026年3月17日、近隣住民らを招いた初めての市民見学会を所内で実施しました。このイベントには32人が参加し、普段は近くて遠い「塀の中」の世界に理解を深める貴重な機会となりました。
受刑者の作業現場を間近に 革製品や木工製品の製造工程を公開
見学会では、限られた範囲ながら、革製品や印刷などを手がける第1工場と木工製品を作る第5工場が公開されました。参加者たちは、受刑者が黙々と作業に励む姿を目の当たりにし、革製の財布やベルト、名刺入れ、ごみ箱、積み木、靴べらなど、多様な製品が製造されていることを学びました。
前橋刑務所には、窃盗や薬物犯罪などに手を染めた刑期10年未満の日本人を中心に、約500人が収容されています。正確な面積は非公表ですが、「東京ドーム1.8個分」の広さを誇る大規模な施設です。
参加者の声 高齢受刑者の存在や社会復帰への関心が浮き彫りに
母親と共に参加した24歳の会社員、本間大也さんは、「いろんな作業をしているのが分かりました。高齢の受刑者が多いのが気になりました」と感想を述べました。また、毎日刑務所のレンガ塀を見ながら通勤する40代の女性は、「塀の中がどうなっているのかという単純な疑問から参加しました。受刑者の社会復帰に向け、いろんな職種の人が関わっていることを知ることができました」と語りました。
拘禁刑新設が背景 刑務所の役割変化で社会との共生が重要に
この見学会が企画された背景には、2025年6月の改正刑法施行があります。これにより、従来の懲役刑と禁錮刑が廃止・統合され、新たに拘禁刑が設けられました。これに伴い、刑務所は「懲らしめ(刑罰)」の場から「改善更生(立ち直り)」の場へと役割を変え、社会との共生が求められるようになりました。
内藤睦所長は、「社会との共生が求められ、市民に理解してもらうことが大切になった」と説明し、受刑者が出所後に再犯を防ぐためには地域の理解が不可欠だと強調しました。さらに、「刑務所の中を知ってもらい、意見や批判も聞きながら刑務所内を変えていきたい」と述べ、今後も見学会の開催を検討していく意向を示しました。
この取り組みは、刑務所が閉鎖的なイメージから脱却し、地域社会との連携を強化する一歩として注目されています。市民の理解を深めることで、受刑者の社会復帰を支援し、再犯防止につなげる狙いがあります。



