旧統一教会に解散命令 東京高裁が「やむを得ない」と判断
高額献金の勧誘などをめぐり、文部科学省が求めた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求について、東京高等裁判所は2026年3月4日、教団に解散を命じる決定を出した。決定要旨では、信者らによる不法行為が継続し、公共の福祉を著しく害していると認定。教団側の自主的な改善は期待できず、解散が「必要でやむを得ない」と結論づけた。
教団の活動と献金収入の実態
旧統一教会の教義創始者である文鮮明は、1954年に韓国で教団を創立し、1958年から日本で布教を開始した。韓国・清平湖近くに本拠地を置き、大規模な施設群を有する。文鮮明は国際的な政治活動やリゾート開発など多額の出費を要する活動を行い、死後は妻の韓鶴子総裁が継承している。
教団の収入の97%以上は信者からの献金で占められ、予算額は責任役員会で決定される。2010年以降も年間500億円前後で推移し、2022年度には560億円に達した。海外送金額は年間83億~179億円で、その9割超が韓国向けとなっている。
不法行為の構造とコンプライアンス宣言後の実態
文鮮明は「日本は世界の母親として経済的援助をすべき」との方針を示し、幹部は信者に「借りてでも捧げよ」「全財産を捧げる」などと説いていた。教団は社会通念を逸脱する数値目標を設定し、信者に献金勧誘を求めた。これにより、1973年以降、全国で506名の対象者に対し、計74億円以上の損害を与える不法行為が行われた。
2009年、強制捜査を受けた教団はコンプライアンス宣言を発出し、対策を講じた。しかし、宣言後も「先祖解怨」の名目で高額献金を求め、実効性のある防止措置を取らなかった。献金目標額は宣言前と同水準を維持し、2022年度には宣言前を上回る額に達している。
信者らは宣言後も目標額の8~9割の献金を集め、不法行為を継続。幹部は海外送金を維持するため、自主的な改善を怠ったと判断された。
安倍元首相銃撃事件後の対応と将来の懸念
2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件後、教団は献金予算を減額した。しかし、これは社会的批判への一時的措置とみられ、根本原因を認めていない。教団は現在も「被害者への社会的責任」としての対応に留まり、韓鶴子からの資金要求を拒絶する意思も能力もないと指摘された。
今後、再び高額献金目標を設定し、不法行為が行われる恐れがあると判断。教団の自主的対策は期待できず、解散以外に実効性のある手段はないと結論づけた。
解散命令の法的根拠と影響
東京高裁は、旧統一教会が宗教法人法81条1項1号に該当する「法令違反で公共の福祉を著しく害する行為」をしたと認定。信者の信教の自由などの権利を考慮しても、解散が「必要でやむを得ない」と判断した。教団は今後、清算手続きに入ることになる。
決定要旨は、教団の長年にわたる組織的な問題を詳細に分析し、司法による厳格な対応を示した。宗教法人の活動と社会的責任の在り方に大きな一石を投じる判決となった。
