大津・保護司殺害事件で検察が無期懲役を求刑
大津市で2024年、自らの立ち直り支援を担当していた保護司の男性を殺害したとして、殺人と公務執行妨害などの罪に問われている無職の飯塚紘平被告(36)に対する裁判員裁判が2026年2月24日、大津地裁(谷口真紀裁判長)で結審した。検察側は「保護観察制度を攻撃する極度の反社会的犯行で、犯行態様も極めて執拗で残虐」として無期懲役を求刑した。判決は3月2日に言い渡される予定である。
検察側が主張する計画的な犯行と完全責任能力
検察側は論告で、保護観察中だった被告は2カ月前から犯行とその後の逃走を綿密に計画し、その通りに実行したと指摘した。善悪の判断や行動の制御が可能な完全責任能力があったと主張し、被告は仕事が長続きしないことを国に責任転嫁し、国に打撃を与えるために担当保護司だった新庄博志さん(当時60)の殺害を計画したと述べた。
「何の落ち度もない被害者を犠牲にしてうっぷんを発散させようとした理不尽で身勝手な犯行で、生命軽視の程度も大きい」と検察側は強調した。この事件は単なる殺人ではなく、社会の支援制度そのものを標的にした深刻な犯罪であると位置付けている。
弁護側の主張と被告の最終陳述
一方、弁護側は24日の最終弁論で「当時の被告の意思決定には、本人の特性が影響していたことを考慮すべきだ」と指摘した。被告は事件後深く反省し、自らの意思で遺族に謝罪の手紙を書いたなどとして、有期刑が相当だと主張した。
被告は最終意見陳述で「この事件を起こしたことは人生で最大の間違いでした。取り消せるものなら取り消したい。本当に申し訳ございませんでした」と述べ、深い悔恨の念を示した。初公判では「守護神さまの声に従いやりました」と発言していたが、最終的には自身の責任を認める姿勢を見せている。
事件の背景と社会的影響
この事件は、保護観察制度という社会の更生支援システムを直接攻撃する内容であり、司法関係者や支援者に大きな衝撃を与えている。被害者の新庄さんは長年にわたり多くの立ち直り支援に携わってきた経験豊富な保護司であり、その突然の死は地域社会に深い悲しみをもたらした。
裁判では以下の点が焦点となった:
- 被告の刑事責任能力の有無
- 計画性の程度と動機の特異性
- 被害者遺族への影響と社会的損害
- 更生可能性と量刑の適切性
判決言い渡しを控え、司法関係者はこの事件が保護観察制度の安全性や支援者の保護について再考を促す契機となる可能性を指摘している。社会の弱い立場にある人々を支える制度そのものが攻撃対象となったことの意味は重く、今後の対策が求められる状況である。



