世界的建築家である故丹下健三氏が設計を手がけた旧香川県立体育館(高松市)の巨大な外壁に、5月下旬の夜、「Save the Boat Gym」(船の体育館を救え)というメッセージがプロジェクションマッピングで投影された。この体育館は1964年に建設され、その曲線を描く特徴的な外観から「船の体育館」として地域住民に親しまれてきた。しかし、老朽化のため香川県は今年4月に解体工事を開始した。
静かな抗議の背景
投影はインスタグラムのアカウント「kentaimapping」で告知され、関係者によると、旧体育館の保存を求める住民らによる「静かな抗議」の一環として行われたという。5月26日午後8時前から約30分間にわたり、メッセージに加えて建設当時の写真も映し出され、多くの見物人が足を止めた。
建築的価値と保存の声
旧香川県立体育館は、丹下健三氏の初期の代表作の一つであり、モダニズム建築の傑作として国際的にも高く評価されている。そのため、建築ファンや地元住民からは保存を求める声が根強く上がっていた。しかし、県は耐震性の問題や維持費の負担を理由に解体を決定。保存運動はこれまで署名活動や公開質問状の提出などを行ってきたが、工事開始後も抗議の声は収まっていない。
今回のプロジェクションマッピングは、夜間の短時間ながら、SNSを通じて広く拡散され、改めて旧体育館の価値に注目が集まっている。保存を求める住民グループは今後も様々な方法で訴えを続ける方針だ。



