山口県の学生、県内就職内定率37%…職業体験の交通費補助を増額へ
山口県の学生、県内就職内定率37%…補助増額

6月1日から学生の採用選考が解禁され、就職活動がいよいよ本格化する。今年3月に山口県内の大学などを卒業した人の県内就職内定比率は37・3%にとどまり、約15年にわたって横ばいの状況が続いている。県は「県内に魅力的な企業があることを知ってもらいたい」として、職業体験の機会を拡充するとともに、企業側に働きやすい環境作りを要請するなど、若者の県外流出に歯止めをかける方針だ。

知事が企業を訪問し、職場環境改善を要請

村岡知事は今月7日、港湾整備などを手がける「関門港湾建設」(下関市)を訪れ、清原生郎社長に職場環境の改善を求める要請書を手渡した。この取り組みは、県が実施する「県内企業人材確保促進月間」の一環。就職氷河期とされた1999年から定期的に行われており、毎年自治体を変えながら知事が企業を訪問している。以前は「人を雇ってほしい」という要請が多かったが、近年は「魅力的な職場環境づくりを」と労働者の立場を重視した内容に変化しているという。

同社は2024年から、作業船内に女性職員専用室を整備するなど働きやすい環境づくりを進めており、4年連続で社員の平均年収も引き上げている。しかし、近年は目標の半分程度の若手しか採用できておらず、清原将彰副社長は「船は人がいないと動かせない。一番の課題は人材確保だ」と語る。

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県内就職内定率は低調、学生の県外流出続く

県内では人口減少で若者の数が減る中、大学新卒者の県外流出に歯止めがかかっていない。山口労働局によると、県内の大学生らの97・2%(今年3月末時点)が就職活動で内定を得ており、記録を取り始めた1995年以降で最も高い水準となった。しかし、県内就職内定比率は37・3%にとどまり、横ばい状態が続いている。

同労働局が2024年9~10月に県内の国公立大学生231人を対象に実施したアンケートでは、「県内の企業をよく知らない」との回答が36・4%に上った。この結果を受け、県は2025年度から、県内で実施する職業体験について、参加にかかる交通費などの補助を拡充した。県と県内の大学や経済団体で構成する「県インターンシップ推進協議会」に加盟する500以上の中小企業・団体が職業体験を実施する際、交通費は前年度比で2倍の最大6万円まで(居住地域に応じて変動)、宿泊費は同3倍の最大6万円まで増額した。

その結果、2025年度夏季の補助利用件数は県内外で計187件に達し、前年度の同時期(88件)から倍増したという。

専門家「まずは仕事を知ってもらうことが重要」

大学生の就職活動に詳しい山口大教育・学生支援機構の平尾元彦教授(キャリア教育)は、「地方の学生が都会のオフィス街に憧れるのはある意味で自然なことだ」と指摘。その上で、「まずはどんな仕事をしているのかを知ってもらうことが重要。会社の情報を積極的に発信するとともに、就業体験などに参加しやすい工夫を凝らしながら、県内だけでなく県外からの学生にも選ばれる状況をつくっていくべきだ」と述べている。

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取材後記

就職活動中の大学生に話を聞くと、「都会で経験を積みたい」という声もあれば、「地元に貢献したい」という意見も聞かれた。共通しているのは、「自分の力を発揮できる仕事がしたい」という思いで働く場を探している点だ。取材を通じて、社員がどのような仕事をしているのか分かりにくい会社もあるように感じた。こうした状況では、学生と企業の間でうまく「マッチング」ができていないのではないか。企業側には、まず学生に自社の存在を知ってもらうとともに、「こんな目的で仕事をしている」「こういう形で社会貢献している」といった具体的な内容を分かりやすく伝えてほしい。学生にも企業にも「選ばれる」ための努力が求められる。(松田史也)