パーソナルジムなら、自分に合った方法で安全にダイエットできると思っていたのに――。そんな期待を裏切られたとして、パーソナルトレーニングの利用者が「無理なトレーニングでけがをした」とジム側に損害賠償を求める訴訟を起こしたケースがある。
背景:パーソナルジムでのけがと訴訟
関東地方に住む行政書士の女性(50)は2022年1月、新型コロナウイルス禍で体重が増えたことをきっかけに、ダイエット目的でパーソナルジムに入会した。入会金と1回60分のトレーニング24回分の料金を合わせ、約31万円を支払った。トレーニングは翌2月から始まった。
女性は以前にも、体重が増えるたびにセルフ式のジムに通ったことがあったが、運動が苦手でトレーニング方法がわからず、結局通わなくなることが何度もあった。そこで、1対1で指導してくれるパーソナルジムなら、自分の体力や健康状態に合ったメニューを組んでもらえ、安全にダイエットできると考えた。また、高額な料金を支払えば、面倒になっても続けられるだろうという期待もあった。
問題の発生:無理なトレーニングでけが
問題が起きたのは、通い始めて約半年後の2022年7月15日。23回目のトレーニングで、スクワットとウォーキングランジ(ダンベルを持って大股で歩く運動)を行った。1セット目終了後、女性は「フラフラになる」と訴えたが、トレーナーは「最初の二つのメニューが効いている。やれるところまで頑張ってみましょう」と促した。女性は2セット目に入ったが、足腰がガクガクして倒れそうになり、ダンベルを置いて終了。3セット目は中止となり、上半身のトレーニングに切り替えた。
女性は「トレーナーが自分に合ったメニューを考えてくれていると信じていたので、きつくても頑張っていたが、この日は無理だった」と振り返る。このジムでギブアップしたのは初めてだったという。
その後の経過と訴訟
帰宅後、女性は就寝中に激痛で目を覚まし、救急搬送された。けがの程度は明らかになっていないが、現在はウォーキングで健康維持に努めているという。女性はジム側の安全配慮義務違反を主張し、損害賠償を求めて提訴した。
パーソナルトレーナーの指導には、利用者の体力や健康状態を考慮した適切なメニュー作成と、無理をさせない配慮が求められる。本訴訟では、トレーナーの指示が過剰だったかどうかが争点となる。裁判所の判断は、今後のパーソナルジム業界における安全基準やトレーナーの責任範囲に影響を与える可能性がある。
消費者事故調も、パーソナルトレーニングでのけが多発を受け、実態調査を進めている。トレーナー育成の仕組みづくりや業界の自主規制が求められる中、司法の判断が注目される。



