愛知県春日井市にある中部大学は、学内喫煙者ゼロを目標に掲げ、2024年に一度撤去した喫煙所を2025年3月に再設置した。全面禁煙から一転したこの取り組みには、喫煙者への効率的な啓発という狙いがある。
全面禁煙から再設置へ
改正健康増進法(2019年7月一部施行)により、学校や病院などは原則として敷地内禁煙とされた。これを受けて中部大学は、かつて8カ所あった喫煙所を2カ所に縮小し、2024年にはこれらも撤去してキャンパス内を全面禁煙とした。
しかし、キャンパス内で隠れて喫煙する学生が後を絶たず、学外でのポイ捨てなど周辺住民から喫煙マナーに関する指摘も寄せられた。大学職員らが巡回して注意を促したが、問題は解決しなかったという。
発想の転換と新たな喫煙所
そこで大学は発想を転換し、2025年3月に「特定屋外喫煙場所」を3カ所設置した。これは、原則禁煙の例外として認められるもので、「施設利用者が通常立ち入らない場所」などの条件を満たす。目の届く場所で喫煙させることで、効果的な卒煙指導を目指す。
新たな喫煙所には、健康被害や卒煙支援の窓口を紹介する啓発ポスターを掲示。学内の診療所での禁煙相談にも一層力を入れる。担当者は「学内喫煙者ゼロに向け、全面禁煙を含めさまざまな方法を試してきた。今回の再設置はその集大成だ」と語る。
他大学の事例と専門家の評価
愛知学院大学の楠元キャンパスでも、2008年に喫煙所を撤去したが、周辺住民から喫煙マナーの指摘が相次ぎ、1年半後に再設置した過去がある。
「脱タバコ教育」に詳しい同大学短期大学部の稲垣幸司教授は、「中部大学も周辺が住宅地なら同様の状況だろう。近隣との共存と卒煙指導のために行動したことは素晴らしい」と評価。喫煙習慣は大学在学中に始まりやすいため、「大学は地道に啓発や指導を続ける必要がある。アンケートなどで再設置の効果を検証し、成果が表れることを期待したい」と述べた。



