水俣病の公式確認から5月1日で70年を迎える。被害者団体は4月30日、熊本県水俣市で石原宏高環境相と懇談し、患者認定制度の見直しなど「誠意ある回答」を求めた。熊本、鹿児島両県での患者認定の申請者は3月末で延べ約3万3千人に上るが、認められたのは1割未満の2284人にとどまる。千人超が審査結果を待ち、救済策から漏れた人たちの訴訟が続いている。被害の全容解明も進まず、「公害の原点」を巡る国の対応が今も問われている。
環境相が現地訪問、被害者団体と懇談
石原氏は、水俣市で1日に営まれる水俣病犠牲者慰霊式に合わせて現地を訪問した。30日から2日間行われる被害者団体との懇談のうち、初日の懇談には計6団体が参加。国などに「被害の実態を無視した認定制度の見直し」や、水俣病の差別・偏見解消に向けた対策などを要請した。
胎児性患者の訴え
石原氏は懇談に先立ち水俣市内にある患者らの支援施設を訪れた。胎児性患者の坂本しのぶさん(69)は「水俣病は終わっていない。これからどうやって生きていけばいいか不安だ」と訴え、石原氏は「医療福祉に取り組んでいく」と応じた。
水俣病は、チッソ水俣工場が排出したメチル水銀を含む廃水を原因とする公害病で、1956年に公式確認された。被害は熊本県と鹿児島県に広がり、多くの患者が今も後遺症に苦しんでいる。国の認定制度は厳格すぎるとの批判が根強く、救済を求める声は絶えない。
救済の現状と課題
患者認定の申請は約3万3千人に上るが、認定されたのは2284人で、審査待ちの人が千人以上いる。また、救済策から漏れた人々が訴訟を起こしており、司法の場で救済を求める動きが続いている。被害の全容解明も進んでおらず、国や企業の責任が改めて問われている。
石原環境相は懇談で「誠意を持って対応する」と述べたが、具体的な見直しの時期や内容は示されなかった。被害者団体は引き続き、制度の抜本的な見直しと早期救済を求めていく方針だ。



