詐欺被害が3241億円で過去最悪に 警察庁が危機的状況を警告
全国で2025年に発生した特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額が、暫定値で3241億円に達し、前年比1.6倍の過去最悪を記録しました。警察庁が2月12日に発表した統計によると、詐欺被害が急増しており、同庁は「きわめて深刻で危機的な状況だ」と強い懸念を示しています。
各詐欺の被害内訳と特徴
特殊詐欺の被害は2万7758件確認され、被害額は1414億円と前年の2倍に膨れ上がりました。特に警察官をかたる「ニセ警察詐欺」の被害が985億円と、特殊詐欺全体の約7割を占める深刻な状況です。
SNS型投資詐欺は9538件で1275億円(前年比46%増)、ロマンス詐欺は5604件で552億円(同38%増)でした。1件あたりの被害額は、投資詐欺が1343万円、ロマンス詐欺が987万円と高額化の傾向が顕著です。
世代別の被害傾向と手口の変化
特殊詐欺全体では、1件あたりの被害額が521万円と前年より171万円増加。若い世代ではインターネットバンキングを利用した現金振り込みが多く、高齢世代では暗号資産の送金被害が目立っています。
SNS型投資詐欺では40代以下が被害者の3分の1を占め、インスタグラムが最も多い入口となっています。YouTube経由の被害は前年から21倍に急増し、実在の投資家をかたった広告からLINEに誘導されるケースが増えています。
ロマンス詐欺では40~60代が被害者の76%を占め、マッチングアプリからの被害が3割超、インスタグラムが2割超でした。暗号資産を送らせる手口が大幅に増加しています。
AI技術の悪用と非対面型生活の影響
詐欺被害の急増背景には、AI技術を悪用した巧妙な手口の増加が指摘されています。詐欺師がAIで顔や声を偽装し、より信憑性の高い詐欺を行うケースが報告されています。
警察庁は、コロナ禍以降に定着した「非対面型」の生活様式も影響していると分析。スマートフォンを通じたSNS利用やインターネットバンキング決済の普及が、詐欺の温床となっている現状を明らかにしました。
警察の対策と今後の取り組み
警察庁は被害防止に向け、国際電話番号からの電話を遮断する機能を持つアプリの推奨制度を開始。今年度内をめどに具体的なアプリを公表する予定です。
また、関係省庁と連携してインターネットバンキングの振り込み限度額引き下げなど、実効性のある対策を進めるとしています。2023年の三つの詐欺被害額は計908億円でしたが、3年間で3.6倍に急増しており、抜本的な対策が急務となっています。
警察庁担当者は「AI技術の発展に伴い、詐欺手口がより巧妙化している。市民の皆様には不審な電話やメッセージには絶対に応じないよう注意を呼びかけたい」と述べ、警戒を強めています。



