豊島区のストーカー相談、年2000件以上が殺人・傷害事件に発展 対策の限界浮き彫り
ストーカー相談年2000件以上が事件化 豊島区で対策の限界 (27.03.2026)

ストーカー相談の深刻化 年間2000件以上が重大事件に発展

東京都豊島区の商業施設で発生したストーカー関連の殺人事件をきっかけに、全国のストーカー相談件数が年間2万件前後で高止まりし、そのうち2000件以上が殺人や傷害、性犯罪などの重大事件に発展している実態が浮き彫りとなっている。警察の対策強化にもかかわらず、加害者の治療受診率は低く、専門家からは現行制度の限界を指摘する声が上がっている。

豊島区で発生した痛ましい事件

2026年3月26日夜、豊島区池袋の商業施設「サンシャインシティ」内にある「ポケモンセンターメガトウキョー」で、男性が女性店員と自らを刃物で刺す事件が発生した。両名は死亡し、警視庁巣鴨署は殺人容疑で捜査を進めている。同庁の調査によると、容疑者は昨年末、同じ女性に対するストーカー規制法違反の疑いで逮捕されていたことが判明した。

さらに詳しい捜査の結果、容疑者は2026年1月にストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた際、八王子署からカウンセリングや治療機関の受診を促されていたが、これを拒否していたことが明らかになった。警察は容疑者の母親に見守りを依頼していたものの、その後の経過観察や定期的な連絡といったフォローアップは実施されていなかった。

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全国的なストーカー相談の現状

警察庁の統計データによると、全国の警察に寄せられるストーカー相談件数は2012年以降、年間2万件前後で推移しており、減少傾向にはない。2025年には2万2881件の相談が寄せられ、そのうち2000件以上が実際に事件化している。これらの事件には殺人、傷害、性犯罪などが含まれており、ストーカー行為が重大な犯罪に発展する危険性が極めて高いことを示している。

警察庁は2024年3月から、ストーカー対策の一環として禁止命令を受けた加害者らを治療機関につなぐ取り組みを強化している。2024年には3271人に受診を働きかけたが、実際に治療機関につながったのはわずか184人(5%)にとどまった。2025年については、禁止命令が出た3037人のうち受診者は233人であり、依然として低い受診率が続いている。

専門家が指摘する対策の限界

ドメスティックバイオレンス(DV)やストーカーの加害者更生に取り組むNPO法人「女性・人権支援センター ステップ」(横浜市)の栗原加代美理事長は、今回の警察の対応について「適切だった」と評価しつつも、根本的な問題を指摘する。

「それでも防げなかったのは、罰則や処罰だけの対策に限界があることの表れです」と栗原理事長は語る。「多くの加害者は恋人に見捨てられたという被害者意識を持ち、自分がストーカー行為をしているという自覚が乏しい。このような心理状態が受診拒否につながっています」

栗原理事長はさらに、現行制度の抜本的見直しを訴えている。「ストーカー規制法において、更生プログラムへの参加を強制する仕組みを導入すべきです。任意の受診では限界があり、加害者の更生と再犯防止には強制的な介入が必要です」と主張している。

警察の対応と課題

警察庁の担当者によると、加害者家族への見守り依頼は法令で定められた措置ではなく、継続的な連絡の有無を含め現場の判断に委ねられている部分が大きいという。このような裁量の大きさが、統一的な対応の妨げになっている可能性がある。

現在のストーカー対策は以下のような課題を抱えている:

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  • 相談件数が高止まりし、事件化するケースが年間2000件以上に上る
  • 加害者の治療受診率が極めて低く(5%前後)、更生が進まない
  • 警察の対応が現場任せになりがちで、統一的なフォロー体制が確立されていない
  • 加害者の心理的特性から、自発的な治療受診が期待しにくい

豊島区で発生した事件は、単なる個別の犯罪ではなく、社会全体が抱えるストーカー問題の深刻さを象徴する事例となった。専門家の指摘通り、罰則や規制だけでは限界があり、加害者の更生を促す包括的な対策が急務となっている。