「匿流」摘発者数が前年比2割増、SNS闇バイトで若者関与が拡大
警察庁がまとめた統計によると、昨年1年間に全国の警察が摘発した匿名・流動型犯罪グループ「匿流」の容疑者は、前年比2割増の計1万2178人に上ったことが明らかになった。SNSなどを通じて離合集散するこの犯罪集団は、暴力団や海外の犯罪組織と結託し、詐欺や薬物事犯などを繰り返しているとみられ、若者の関与が特に目立っている。
資金獲得犯罪の内訳と年齢別傾向
摘発者数のうち、違法な収入源とされる「資金獲得犯罪」で摘発されたのは6679人で、前年比1476人増加した。分析によると、約3割がSNSの「闇バイト」などを通じて事件に関与していた。資金獲得犯罪の罪種別では、詐欺が最多の約46%を占め、薬物事犯が約28%、窃盗が約15%と続き、強盗も約5%に上った。
年齢別では、20歳代が約42%の2811人で最多となり、30歳代が1328人、14~19歳が1048人と続いた。30歳未満の若者が全体の約6割を占め、若年層の関与が深刻な問題となっている。一方、容疑者のうち「主犯または指示役」は約1割の930人に留まり、残りは実行役や被害金の回収役などだった。
暴力団との連携と警察の対策強化
全国の暴力団(準構成員を含む)勢力は昨年末時点で1万7600人と、統計が残る1958年以降で過去最少となった。しかし、警察の捜査では、一部の暴力団が匿流の仲介で海外の犯罪組織と接点を持っていたことが確認された。全体の勢力が低下する中、暴力団は匿流と一体化したり、手足として利用したりしているという。
匿流は、来日外国人の犯罪グループや犯罪収益の受け皿となる口座を調達する「道具屋」、暗号資産などへの交換でマネーロンダリングを請け負う「相対屋」などとも連携しており、警察当局は違法活動の実態把握を進めるとともに、摘発を強化している。
新たな捜査手法と司令塔組織の設置
警察は、広域捜査の強化や新たな捜査手法の導入で匿流の摘発を強化している。警察庁によると、匿流の関与が疑われる特殊詐欺については、都道府県警が連携する「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」が捜査を展開し、昨年1年間で計533件の摘発につなげた。
さらに警察庁は昨年10月、匿流対策の司令塔組織を設置した。捜査情報を分析して匿流の中核的人物を特定し、集中的に取り締まるのが狙いで、全国から捜査員を結集した警視庁とも連携して、匿流の壊滅に向けた捜査を強力に推進している。
新たな捜査手法では、「仮装身分捜査」が効果をあげている。捜査員が架空の本人確認書類で「闇バイト」に応募して摘発につなげる手法で、強盗予備や詐欺未遂の4事件を摘発するなど、被害の未然防止につなげた。匿流はSNSの闇バイトなどで実行役を募っており、全国警察は事件に悪用されたSNSのアカウント情報の照会や集約を徹底し、実態解明を進めている。



