慶応義塾大学は、介護の必要性が比較的低い高齢者を対象に実施した調査結果を公表した。それによると、預貯金の出し入れを一人で行えない人の割合が全体の29.2%に達することが明らかになった。この傾向は認知機能の低下と強い関連性が認められ、住み慣れた地域での自立した生活を続けるためには、金銭管理に対する適切な支援が不可欠であると指摘。金融機関と福祉機関の連携強化を提言している。
調査の概要
調査は大阪府和泉市の協力の下、2025年2月から4月にかけて実施された。対象は要支援1~2および要介護1の市民で、約3000人が回答。回答者の平均年齢は82.8歳だった。
貯金の出し入れに関する結果
「貯金の出し入れを一人でできますか」という質問に対し、「いいえ」と答えた割合は全体で29.2%。要介護度別にみると、最も軽度の要支援1では16.5%、要支援2では27.6%だったのに対し、要介護1では61.1%に急上昇した。
金融機関利用時の困りごと
金融機関を利用する際の困難(複数回答)としては、「取引内容や暗証番号、印鑑の保管場所などの記憶があいまい」「ATM操作などの説明が難しく理解できない」といった回答が目立った。また、「家族や第三者の意見を聞きたくなる」という声も多く寄せられた。
今後の課題
調査結果は、高齢者の金銭管理能力の低下が認知機能の衰えと密接に関連していることを示している。専門家は、金融機関が高齢者向けにわかりやすいサービスを提供するとともに、地域包括支援センターなど福祉機関との連携を強化し、金銭管理を含む生活支援の体制を整える必要があると強調している。



