東広島放火殺人事件発生から10日、容疑者逮捕に至らず
広島県東広島市の住宅でリフォーム会社経営者の川本健一さん(49)が刺殺され、住宅が放火された事件は、2月25日で発生から10日目を迎えた。広島県警は容疑者の逮捕には至っておらず、現場検証や防犯カメラ映像の解析など、捜査を継続している。取材によれば、トラブルの有無や狙われた理由は依然として不明で、事件の全容は謎に包まれたままである。
現場近くの住民「夜が不安で雨戸を閉める」
事件現場近くに住む70歳代の男性は2月24日、「夜が不安で、雨戸を閉めるようになった。早く捕まってほしい」と語り、地域社会に広がる不安感を明かした。川本さん方では同日、県警の捜査員が現場検証を実施。事件翌日の17日から連日続けられ、ドローンを使用して焼け跡の状況を確認する様子も確認された。県警幹部の一人は「採取できる証拠は全て調べる」と述べ、徹底した捜査姿勢を示している。
妻が目撃した「20代くらいの男」
県警によると、川本さんは2月16日午前4時15分頃、2階建て住宅の裏庭で血を流して死亡しているのを、110番通報で駆けつけた警察官が発見した。靴は履いておらず、部屋着で倒れていた。この時、住宅は2階部分を中心に燃えており、屋根は焼け落ちていた。県警は17日、殺人や現住建造物等放火事件として、70人態勢の捜査本部を設置した。
川本さんは50歳代の妻と2人で暮らしていた。妻は事件直後、近隣住民に助けを求め、顔にやけど、頭に打撲痕があり、救急搬送後に入院した。住民によると、妻は「マスク姿の男に刃物で脅され、2階に上がるよう言われた。灯油のようなものをまかれ、火をつけられた。私は2階から飛び降りたが、旦那は家の中にいる」と証言。「スマホを取られた。男ともみ合いになり、マスクが外れ、20歳代くらいの男の顔が見えた」とも述べたという。県警は今後、妻への詳しい聞き取りで捜査が進展する可能性もあるとみている。
防犯カメラ映像や灯油購入履歴を収集
複数の住民によると、県警は16日未明に不審者を目撃していないか、住民らに聞き込みを実施している。コンビニ店やガソリンスタンドなど約70軒への取材では、県警が防犯カメラの映像や灯油の購入履歴を収集していることも判明した。
川本さん方は閑静な住宅街に位置し、幹線道路の出入り口付近に立つ。近くに駅はなく、移動には車が必要とみられる。読売新聞は川本さん方の南西約100メートルに設置されたカメラ映像を入手。16日午前0時頃から、通報のあった午前3時30分頃までの映像を記者が確認したところ、数台の車が映っていた。県警もこの映像の提供を受けており、解析を進め、不審車両の有無を調べているとみられる。
死因は失血死、侵入経路の可能性も
川本さんの死因は喉付近を複数回刺されたことによる失血死で、全身にやけどもあった。県警は、2階で何者かとトラブルになり、火をつけられ、刃物で襲われたと推測。1階居室の掃き出し窓が外側から割れており、侵入経路の可能性があるとしている。
川本さんが裏庭で倒れていた理由は判明していない。捜査関係者によると、2階で襲われた後、誤って転落した、自ら飛び降りた、階段で逃走するも追いかけられ裏庭で刺された可能性がある。ある県警幹部は「予断を持たずに捜査している」と述べた。
動機不明、金品目的の可能性も
なぜ襲われたのかも取材上、不明だ。県警には、川本さん夫婦に関するトラブル相談はなかったという。川本さんの知人や近隣住民は「恨まれる人ではない」と口をそろえた。金品目的の侵入だった可能性もあるが、住宅からなくなっている物の有無について県警は現時点で特定できておらず、捜査中としている。



