水俣病被害者救済法が成立 約1万人に救済対象拡大
水俣病の被害者救済を目的とした新法が、10日の衆議院本会議で与党などの賛成多数により可決、成立した。この法律により、これまで救済対象外だった約1万人が新たに救済の対象となる見通しだ。
新法の内容
新法では、水俣病の原因物質であるメチル水銀に汚染された魚介類を長期間にわたって摂取した人々のうち、一定の条件を満たす者に対して、医療費や介護費の支給、さらに一時金として最大で約120万円が給付される。また、既に認定されている患者への給付金も増額される。
対象となるのは、熊本県と鹿児島県の水俣湾周辺地域で、1956年から1974年までの間に魚介類を頻繁に摂取していた人々。政府は今後、申請を受け付け、審査の上で給付を開始する方針だ。
被害者の高齢化に対応
水俣病の公式確認から70年近くが経過し、被害者の高齢化が進んでいる。新法は、高齢で症状が顕在化しやすい被害者を救済するため、症状の程度にかかわらず、一定の暴露歴があれば救済対象とする基準を導入した。
環境省の推計によると、新たな救済対象者は約1万人と見込まれ、その多くは70歳以上だ。政府は、総額で約300億円の費用を見込んでいる。
経緯と今後の課題
水俣病をめぐっては、1956年に公式確認されて以降、長年にわたって被害者救済が進められてきたが、認定基準が厳しいなどの理由から、多くの被害者が救済から漏れていた。今回の新法は、そうした声を受けて与野党が協議を重ね、成立に至った。
一方で、被害者団体からは「救済範囲がまだ不十分だ」「新たな認定基準も複雑で、申請が難しい」との指摘も上がっている。政府は、申請手続きの簡素化や周知徹底を図るとしている。
また、新法は時限立法であり、5年後に見直しが行われる。その際には、救済対象のさらなる拡大や、制度の改善が検討される見通しだ。



