売買春「買う側」処罰導入の課題…北欧モデル採用後の懸念と必要な視点
売春防止法の見直しに向けた法務省の有識者検討会で、「買う側」への処罰導入が焦点となっている。現行法では「売る側」の勧誘行為に「6カ月以下の拘禁刑か2万円以下の罰金」の罰則があるが、買う側は処罰対象ではない。買う側を処罰することで性的搾取の減少が期待される一方、売る側の性暴力リスク上昇など懸念も指摘される。
新宿・大久保公園では「立ちんぼ」と呼ばれる女性の状況が悪化。SNSや動画配信で「TACHINBO」「Okubo Park」として海外に拡散し、観光地化している。NPO法人「ぱっぷす」理事の内田絵梨氏は国会内で「需要側への抑止が不十分な制度構造で問題が再生産されている」と指摘した。
法務省の有識者検討会では3月から3回の会合が開かれ、買う側の処罰化の是非を議論。海外では韓国や米国一部州で双方処罰、ドイツやオランダで双方非処罰、スウェーデンやフランスでは買う側のみ処罰する「北欧モデル」が存在する。ぱっぷすは北欧モデルの採用を最終目標に提言した。
しかし北欧モデルにも課題がある。フランスの調査では性産業従事者の42.3%が「性暴力にさらされることが増えた」と回答。神戸大の青山薫教授は「買う行為が犯罪化するとスリルを求める危険な客が増え、人目のつかない場所で取引が行われ、暴力リスクが高まる」と分析。さらに「ネット上に移行するだけで、街がきれいになったと喜べない」と疑問を呈する。
ぱっぷす理事長の金尻カズナ氏は「日本では買う側の処罰化と売る側の支援を両輪で行う必要がある」と訴える。青山氏は「北欧モデルは先進的に聞こえるが、性サービスで生計を立てる人への悪影響を見逃してはならない。理念だけでなく調査に基づいた議論が必要だ」と強調した。



