こんにゃく副産物「飛粉」が砂ぼこり抑制に驚異の効果 群馬高専女子学生が発見
群馬県の特産品であるこんにゃくの製造過程で大量に発生する副産物「飛粉(とびこ)」が、強風による砂ぼこりの抑制に極めて高い効果を示すことが明らかになりました。この画期的な発見は、前橋市の群馬工業高等専門学校(群馬高専)に在籍する2人の女子学生による粘り強い研究から生まれました。
地域の困り事から生まれた発想
環境都市工学科3年の坂本真百合さん(18)と栗本衣咲さん(18)は、女性が中心となって持続可能な開発目標(SDGs)の観点から技術アイデアを競う全国大会「高専GIRLS SDGs×Technology Contest(GCON)」への参加を目指し、研究テーマを模索していました。
群馬県では冬になると、赤城山から冷たく乾いた強風「赤城おろし」が吹き下ろします。この風によって校庭の砂が舞い上がり、学生生活に様々な支障をきたしていました。女子学生48人へのアンケートでは、実に4分の3が砂ぼこりによる肌荒れや洗濯物の汚れに悩んでいることが判明しました。
コンクリート実験の失敗を乗り越えて
当初、2人は飛粉の強い粘り気に注目し、セメントに混ぜてコンクリートの強度向上に活用できないかと考えました。2025年5月から渡辺祥庸助教(38)の指導のもと、放課後や夏休みを利用して週2~3回の実験を重ねました。
しかし、固まったコンクリートを圧縮試験にかけるとすぐに崩れてしまい、思うような結果は得られませんでした。専門家からは「飛粉に含まれるでんぷんがセメントの化学反応を阻害する」との指摘を受け、10月下旬にはコンクリートへの利用を断念せざるを得ませんでした。
砂ぼこり抑制で99%の驚異的数値
諦めずに粘り気の活用方法を模索していた2人は、建設現場の防じん対策に関する情報をヒントに、新たな方向性を見出しました。飛粉を水に混ぜて砂に散布し、砂が舞い上がるのを防ぐ実験を開始したのです。
実験では、平らな容器に入れた砂に以下の3種類の液体を散布し、ドライヤーで風速毎秒10メートルの風を吹き付けました:
- 水のみ
- 飛粉を5%混ぜた水
- 飛粉を10%混ぜた水
その結果、砂ぼこりの抑制率は水のみが14.2%だったのに対し、飛粉を混ぜた水は99%に限りなく近い数値を示しました。飛粉に含まれる成分が砂の表層約5ミリを固め、風で舞い上がるのを防いだと考えられます。
最優秀賞獲得と実用化への道
研究過程では、水分量によってカビが発生する課題もありましたが、水量を調整することで解決。飛粉を5%混ぜるのが最適との結論に達しました。
2025年12月に開催された全国大会では、国公私立高専89チームが参加する中、坂本さんと栗本さんのチーム「群馬レベルアップ大作戦☆」が見事最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞しました。
現在、2人は特許取得を目指して研究を継続しています。坂本さんは「実用化までにはまだ課題がありますが、粘り強く取り組んでいきたい」と意気込みを語りました。
女性技術者の視点が拓く未来
この研究は、SDGsの目標5「ジェンダー平等の実現」と目標11「住み続けられるまちづくり」に貢献する事例として高く評価されています。
渡辺助教は「砂ぼこりで車が汚れることは気になっていましたが、肌荒れや洗濯物の汚れという視点は思い付きませんでした。女性技術者が増えることで、これまで気付かれなかった生活の困り事が解決される可能性があります」と指摘しました。
国立高専機構の永田昭浩事務局長は「多様性が当たり前の社会の中で、次代を担う女性技術人材を育成し、GCONの『G(ガールズ)』が取れる日を目指している」と述べ、女性技術者の活躍拡大への期待を表明しました。
群馬県では年間約3000~4000トンの飛粉が発生しており、現在は肥料や美容成分のセラミド抽出などに利用されています。今回の発見は、地域の特産品から生まれる副産物の新たな活用方法として、持続可能な地域発展にも寄与する可能性を秘めています。



