医療的ケア児の親、成人後のショートステイ利用困難で疲弊「安心して年を重ねる支援を」
医療的ケア児の親、成人後のショートステイ利用困難で疲弊

医療的ケア児の親、成人後のショートステイ利用困難で疲弊「安心して年を重ねる支援を」

埼玉県に住む宮城由美子さん(54)は、重度の知的障害と身体障害を抱え、人工呼吸器などの医療的ケアが不可欠な長男の遼大さん(23)の介護に日々奮闘している。昨秋、条件付きで継続していたショートステイサービスが利用できなくなり、少ない息抜きの時間がさらに減ったことで、疲労と不安が増すばかりだ。

慢性的な睡眠不足と介護の重圧

遼大さんは生後間もなく脳性まひなどを発症し、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアが必要となった。寝たきり状態で会話はできず、宮城さんは生活全般の世話に加え、福祉施設への送迎や通院の付き添い、医療機器の管理に追われる。夜間は2~3時間おきに人工呼吸器の水切りやたんの吸引を行わなければならず、睡眠はたびたび中断される。夫(52)は協力的だが、仕事のため、介護の多くは宮城さんが担っている。

「息子が生まれてから、ずっとこんな生活。ぐっすり眠りたい」と宮城さんは嘆く。遼大さんが11歳頃から利用してきたのは、自宅から車で1時間ほどの距離にある医療型障害児入所施設のショートステイサービスだ。数か月前に予約を入れ、2~3か月に1回、3泊4日で預かってもらうことで、宮城さんはゆっくり眠ったり、買い物に出掛けたりする貴重な時間を得ていた。

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ショートステイ利用困難で息抜きの機会減少

しかし、昨年秋、施設から「今後の継続利用は難しい」と伝えられた。理由は、18歳未満の利用希望者の増加だった。この施設は本来「18歳まで」の利用制限があったが、近隣に遼大さんの状態に対応できる施設が少ないため、「受け入れ先が見つかるまで」という条件付きで利用が認められていた。宮城さんは「やむを得ないが、受け入れ先が不足している状況は変わっていない。休みがとれなくなるのは、つらい」と語る。

すぐに次の受け入れ先を探し始め、見つけたのはこれまでより遠い栃木県の医療機関。2月中旬に1泊だけ利用したが、「実質的に休めたと思える時間は少なかった」という。定期利用のめどは立っておらず、今後はその都度受け入れ先を探す必要がある。

親の体調不良と支援拡充への切実な願い

宮城さんは数年前に更年期障害と診断され、薬を飲み続けているが、気分が落ち込んだり、体調が優れなかったりする日がある。体力も低下し、身長170センチの息子の体を持ち上げてオムツを替えたり、着替えをさせたりするのは楽ではない。「親が体調不良になることもある。親子で安心して年を重ねていけるような支援と、利用しやすい仕組みを考えてほしい」と訴える。

埼玉県が2022年に行った調査によると、「医療的ケア児者のそばからひと時も離れられない」との問いに、「当てはまる」「まあ当てはまる」と回答した親の割合は、18歳未満の子の親(57%)より、18歳以上の子の親(64%)の方が高かった。また、一般社団法人「全国医療的ケア児者支援協議会」の2025年の調査では、医療的ケア児者の保護者の46%が「保護者のいずれかが心身が限界で不調をきたした」と回答し、44%が「利用可能なショートステイ施設がない」とした。

成人後の支援不足と法改正の動き

同会親の部会長の小林正幸さんは「医療の進歩で命を救えるケースが増え、自宅介護する親も増えているが、親が休むためのショートステイなどのサポートは不十分。子どもの成人後や親の高齢化を見据え、家族の負担や不安を軽減する支援の拡充を急いでほしい」と指摘する。

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こども家庭庁によると、自宅で暮らす医療的ケアが必要な0~19歳は2024年現在、全国に推定約2万1000人で、2005年の2倍以上に増えている。医療的ケア児やその家族に対する支援は、2021年施行の医療的ケア児支援法で国や自治体の責務と定められ、専用相談窓口の設置や保育園・学校への看護師配置が進められている。

一方で、18歳の成人後の支援不足を指摘する声は多く、超党派の議員連盟が同法の改正案を検討中だ。成人した「医療的ケア者」や「重症心身障害児者」らを新たに対象に加えて支援を拡充する方向で、今国会での提出を目指しているという。