婦人科内視鏡治療の革新:腹腔鏡とロボット手術で患者の負担を軽減
婦人科疾患の治療において、腹腔鏡手術やロボット支援手術は、従来の開腹手術に比べて傷が小さく、回復が早いなど、多くの利点が注目されています。これらの技術は、患者の生活の質を向上させる手段として、医療現場で急速に普及しています。
腹腔鏡手術とロボット支援手術の基本
腹腔鏡手術は、腹部に数か所の小さな穴を開け、内視鏡や専用のメス、鉗子を挿入して行います。医師は大きな画面に映し出された映像を見ながら操作するため、精密な処置が可能です。一方、ロボット支援手術では、鉗子などの器具がロボットアームに取り付けられ、医師が遠隔で動かすことで、手ぶれを抑え、高い精度を実現します。どちらの方法も、出血量が少なく、術後の痛みが軽減されるという大きなメリットがあります。
様々な疾患への適用と保険制度
子宮鏡手術は、膣から器具を挿入し、子宮内膜ポリープや子宮筋腫を取り除く場合などに用いられます。経膣的腹腔鏡手術(vNOTES)は、膣から器具を入れて子宮の全摘出などを行う手法で、実施可能な医療施設が増加しています。
保険適用に関しては、早期の子宮体がんに対して腹腔鏡とロボット支援手術が公的医療保険で認められています。子宮頸がんには腹腔鏡手術が適用され、卵巣がんについては、一部の医療機関が国の先進医療として腹腔鏡手術を行っています。
骨盤臓器脱や不妊治療への応用
加齢に伴い、膣から子宮や膀胱、直腸が出る骨盤臓器脱の治療では、腹腔鏡やロボットを用いて網目状のシート(メッシュ)を挿入し、臓器を固定する手術が広がっています。また、子宮内膜症や子宮内膜ポリープ、子宮筋腫は不妊の原因となることがあり、妊娠を希望する患者には、手術の時期や治療方針を医師と相談することが推奨されています。
北九州市立医療センターの先進的な取り組み
北九州市立医療センター(北九州市小倉北区)では、子宮筋腫や子宮内膜症といった疾患の7割以上、子宮頸がんや子宮体がんの半数以上で、腹腔鏡手術とロボット支援手術を実施しています。産婦人科の兼城英輔主任部長(52歳)は、「開腹手術に比べて術後の痛みが軽く、傷も目立ちにくい。出血量が少ないなどメリットは大きく、患者からのニーズも高い」と説明します。
がん治療においては、症状が予想以上に進行している場合には開腹手術に切り替えることもあるため、患者には事前に十分な説明を行っています。ロボット支援手術は、手ぶれが抑えられ、高い精度が期待できるため、2021年に導入され、現在は2台を運用し、医師5人が手術可能な資格を持っています。
技術の進化と今後の展望
近年では、触った感覚が手に伝わるロボットが開発されたり、傷つけてはいけない臓器などが画面で確認しやすくなったりと、技術が進化しています。兼城主任部長は、「進行したがんなど、これまで内視鏡では難しかった手術でも、対応できる範囲が増えていくだろう」と語ります。
同センターは今年、早期の卵巣がんの腹腔鏡手術に取り組むことを目指しており、兼城主任部長は「開腹手術と遜色ない治療成績を積み重ねれば、保険適用への道が開ける。患者が恩恵を受けられるよう、センターとしても貢献したい」と述べています。婦人科内視鏡治療は、患者の負担軽減と治療効果の向上を両立させる重要な手段として、今後も発展が期待されます。



