パーソナルトレーナー「安全確保の仕組みづくりを」消費者事故調が報告書
パーソナルトレーナー「安全確保の仕組みづくりを」

パーソナルトレーニングでのけが事故を受け、消費者事故調が安全確保の仕組み作りを提言

消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は27日、スポーツジムなどでのパーソナルトレーニング中に利用者がけがをする事故が相次いでいることを受け、安全確保に向けた仕組み作りを求める報告書をまとめました。この報告書は経済産業省を通じて業界団体に促されることになります。

パーソナルトレーニングの定義と現状

消費者事故調は、パーソナルトレーニングを「個人(利用者)の健康状態や運動能力などに応じ、トレーナーが運動プログラムを定め、その指導の下で運動を実施するサービス」と定義しています。健康維持や筋力アップ、ダイエット目的で利用する人が多く、近年は店舗数が増加傾向にあります。

事故の実態と統計

パーソナルトレーニングの普及に伴い、利用者がけがをする事故も増えています。消費者庁と国民生活センターが共有する事故情報データバンクに登録された事故件数は増加傾向で、2019年から2025年までに計196件に上ります。けがの程度では、治療に「1カ月以上」を要するものが最も多く、全体の41%を占めました。部位別では腰・股関節が30%で最多、次いでひざ・足(下半身)が22%でした。年代別では40代(51件)、30代(37件)、50代(32件)の順となっています。

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トレーナーの資格と現状

トレーナーの中には、運動生理学などの知識が問われる日本や米国の民間団体の資格を取得している者もいますが、パーソナルトレーニングを提供する上で必要な国家資格は存在しません。トレーニング内容の質は、ジムやトレーナー個々の資質によるところが大きいのが現状です。

アンケート調査の結果

消費者事故調は2024年にトレーナー582人を対象にアンケートを実施しました。「所属する施設(店舗)では、パーソナルトレーニングに関する業務フローやマニュアルがあるか」との質問に対し、「ない」「わからない」と回答した割合は30%に達しました。「資格取得時やその後の研修会などで、トレーニングに関わる安全管理について学びましたか」との問いには、10%が「いいえ」と回答。また、「トレーニングを行う際、後で振り返ると少し負荷をかけすぎたと思ったことはあるか」との問いに、「たまにある」が42%、「頻繁にある」を加えると44%に上りました。

同じく2024年に利用者1336人を対象に行ったアンケートでは、「トレーナーからの動作や負荷の指示に対し、無理だと感じることはあるか」との問いに、「たまにある」が27%、「頻繁にある」を合わせると32%に達しました。その場合の対応として、43%が「申し出てやめた」と答えた一方、16%が「がまんして続けた」と回答しています。

事故原因と安全確保のための提言

こうした状況を受け、消費者事故調は事故原因について「適切でない運動が修正、または中止されないまま実施されることにより発生していると考えられる」と指摘。安全確保に向け、トレーナーに共通して求められる知識・技術・経験、トレーナーの確認漏れや危険性の過小評価などのミスを防止するための手順、利用者がトレーナーに自分の考えや状態を伝えやすくする環境作りの手順といった基準を作った上で、トレーナーを育成・管理することが必要としています。

ただちに行うべき対応

事故防止のため、消費者事故調は関係省庁に対し、以下の点をトレーナー側に周知するよう求めています。

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  • 利用者から不安や違和感の訴えがあった場合、安全を最優先させる対応をとること。
  • トレーニングの初回から数回目は低い強度の運動から始め、正しいフォームの習得や負荷になれることを目的とした指導・助言をすること。

また、利用者側にも、無理のない低めの負荷から始めること、気になることを伝えること、不安が残る運動はいったんやめることなどの重要性を伝える必要があるとしています。

消費者事故調について

消費者事故調は各分野の専門家らで構成され、命にかかわる身の回りの事故について原因などを調べ、関係省庁に安全対策について提言する機関です。これまでにエレベーター事故やベランダからの子どもの転落事故などが調査対象になっています。