愛知県春日井市で、少子化が進む中でも保育需要が増加している。1歳3カ月の長女を育てる33歳の母親は、4月に保育園が見つからず育休を延長。昨年も年度途中で入園を申し込んだがかなわず、第8希望まで記入したという。後に第1希望の園は人気が高く、新規入園者がいなかったと聞き、「本当は2人目も欲しいが、長女の預け先が確立しないと計画が立てにくい」と悩む。
ベッドタウン春日井の現状
JR春日井駅から名古屋駅まで約20分とアクセスが良く、ベッドタウンとして発展してきた春日井市だが、少子高齢化の影響で人口は緩やかに減少。市の待機児童数は15年連続でゼロを維持しているものの、子どもの年齢や地域によって希望する園に入れず、仕事と子育ての両立に苦労する親は少なくない。
別の32歳の母親は、長女(4)と長男(1)が異なる園に通うため、毎朝両園をはしごする。両園とも登園時間は午前8時半から9時までで、8時に自宅を出て8時半に長女、9時に長男を預け、名古屋市内の勤務先に到着するのは9時半。通勤ラッシュで「間に合うかギリギリ」の日々だが、「落ちた人がいるから入れてもらえただけ良かった」と受け止めている。
需要予測と対策
市が2024年度に策定した5カ年の子育て施策計画「かすがいこどもまんなかプラン」では、保育需要の予測として0歳児は微増、1・2歳児は増加、3~5歳児は減少と見込む。特に1歳児の需要が大きく、最大で定員を100人上回る。地域別では市中西部で需要が高い。
市は受け皿確保のため、幼稚園の認定こども園への移行を支援。認定こども園は幼稚園と保育園の機能を併せ持ち、国も多様な保育ニーズに対応すべく移行を推進している。市内では今年4月、私立かちがわ幼稚園(旭町)が認定こども園に移行し、新たに1・2歳児各10人の受け入れを開始。市は25年度当初予算に乳児室整備費として3841万円を計上。過去には0~2歳児対象の小規模保育園の新設も支援し、保育園・こども園・小規模保育園の定員は21年度からの4年で525人増加した。
少子化との矛盾
共働き増加を背景に低年齢児の保育需要は増える一方、少子化も進行。市の統計では、20年度と25年度の3歳未満園児数と人口の増減率を比較すると、園児数は16.5%増加したのに対し、人口は19.5%減少。地域差も大きく、こども家庭庁によると全国的に保育園の定員充足率は低下傾向で、過疎地では定員割れに直面する園もある。
市が「子はかすがい、子育ては春日井」と宣言して今年で10年。昨年市内に引っ越してきた31歳の母親は、長女(3)を認可外保育園も含めて3回転園させた。6カ月の長男についても、1歳児の入園倍率の高さから0歳のうちに預けるべきか悩む。「1歳まで一緒にいたい。でも制度がタイミングを左右する」と話す。



