指定難病薬「タブネオス」服用後20人死亡、キッセイ薬品が新規投与を差し控え呼びかけ
指定難病薬「タブネオス」服用後20人死亡、キッセイ薬品が新規投与差し控え

キッセイ薬品工業(長野県松本市)は、米企業が開発し同社が国内販売する指定難病治療薬「タブネオス」(一般名アバコパン)を服用した患者のうち、国内で20人が死亡したと発表しました。因果関係が不明な事例も含まれますが、重篤な肝機能障害を発症した症例が報告されており、同社は新規患者への投与を差し控えるよう医療機関に呼びかけています。

タブネオスとは

タブネオスは、指定難病である「顕微鏡的多発血管炎」と「多発血管炎性肉芽腫症」の治療薬です。米製薬会社アムジェンの子会社ケモセントリクスが開発しました。キッセイ薬品工業は2017年に日本での開発・販売権を取得し、2021年に厚生労働省の承認を得て、2022年から販売を開始していました。

経緯と現状

タブネオスを巡っては、2026年1月に欧州医薬品庁(EMA)が臨床データの整合性に疑義があるとして調査を開始。4月には米食品医薬品局(FDA)が、承認申請書に虚偽記載が見つかり薬の有効性を示す十分な根拠が認められないとして、米国での承認撤回を提案していました。

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キッセイ薬品工業によると、4月27日時点で国内では8503人がタブネオスを服用したとみられます。これまでに重篤な肝機能障害が現れた症例は222件報告され、ほとんどは投与開始から3カ月以内に発症していました。このうち、肝臓の胆管がなくなる「胆管消失症候群」は22人で、うち13人が死亡しています。同社は5月1日付で、重大な副作用の項目に胆管消失症候群を追記しました。

現時点では日本での薬の承認は継続していますが、同社は投与初期での発症が認められることから、新規患者への投与は差し控え、投与中の患者には肝機能障害のリスクや代替治療を十分に説明し、慎重に判断するよう求めています。同社は「厚生労働省に必要な情報を提供し、今後の対応を協議している」としています。

キッセイ薬品工業について

キッセイ薬品工業は長野県内最大手の製薬会社で、1946年に創業。医療用医薬品などの研究、開発、製造、販売を手がけています。2026年3月期の連結決算の売上高は前期比10.3%増の974億600万円でした。

地域の反応

キッセイ薬品工業の本社がある長野県松本市では、住民から不安と原因究明を求める声が上がっています。同社はサッカーJ3の松本山雅FCの公式スポンサーを2010年から務め、2012年には県松本文化会館のネーミングライツを取得するなど、地域との関わりが深い企業です。

子どもを持つ市内の30代女性は「医療の知識がない人は、処方された薬を飲むしかない。信頼できるはずの薬で死ぬのは怖い」と不安を漏らしました。市内の70代男性は「市民にとってなじみ深い企業。市内では『キッセイ』と名のつくものをよく見かける」とし、「会見を開いて原因を公表してほしい」と早急な対応を求めています。

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