群馬県で外国籍の子「18歳の壁」問題 日系ブラジル3世の行政書士が講演で対応訴える
群馬県伊勢崎市で、外国籍の子どもたちが直面する「18歳の壁」と呼ばれる問題への対応を求める講演会が開催された。講演を行ったのは、日系ブラジル3世の行政書士である井手口睦美さんだ。井手口さんは、自身も同じ境遇を経験した立場から、早めの対応と周囲の連携の重要性を強く訴えた。
「家族滞在」のままでは働けない現実
外国籍で「家族滞在」の在留資格を持つ子どもたちは、高校を卒業して18歳になると、就労が制限される「18歳の壁」に直面する。この資格は、親の監護・養育を受けることが前提であり、原則として働くことは禁止されている。そのため、日本の学校で学び、スキルを身に付けても、そのままの状態では就職できないという深刻な問題が生じている。
井手口さんは講演で、「家族滞在のままでは、日本の学校で勉強してスキルを身に付けても働くことができない」と指摘。この壁を放置した場合、週28時間以内のアルバイトで自立できない状態になるか、言葉が分からない親の母国へ帰るか、最悪の場合は不法滞在や不法就労のリスクを抱えることになると警告した。
群馬県内の現状と具体的な対応策
群馬県内には約8万7千人の外国籍の人が暮らしており、そのうち伊勢崎市は約1万7千人で、人口の約8.2%を占める。井手口さんによれば、市内には「恐らく500人以上の子どもが家族滞在で暮らしている」と推定される。製造業や介護分野で働く人とその家族が多いが、子どもたちの将来については十分な支援が行き届いていないのが現状だ。
「18歳の壁」を超えるためには、井手口さんが強調する3つのポイントがある。それは「本人の高校卒業(教育)、就職の内定(自立)、親が納税義務などを果たしてきた事実(歴史)」だ。これらを満たせば、家族滞在から「特定活動」の在留資格に切り替えることが可能となり、その後は定住者の道が開かれるという。
学校・地域・行政の連携が鍵
井手口さんは、外国にルーツを持つ子どもの未来を拓くためには、学校、地域、行政の連携が不可欠だと主張する。特に学校の先生には、進路指導の際に在留資格の壁がある可能性を考慮し、声を掛けてほしいと呼びかけている。制度の周知と専門家の助言を受けることが、問題解決への第一歩となる。
自身も日系ブラジル3世として日本で生まれ、伊勢崎市内の高校を卒業後に日本国籍を取得した井手口さんは、同じような境遇の子どもたちを支援するため、在留資格取得に関する相談に応じている。彼女の経験と知識は、多くの家族にとって貴重な指針となっている。
この問題は、単なる法律上の課題ではなく、多文化共生社会を実現する上での重要なテーマだ。井手口さんの活動を通じて、より多くの人々が「18歳の壁」の存在に気付き、適切な対応が広がることが期待される。



