受刑者の選挙権制限は「違憲」と高松地裁が判決、選挙人名簿登録を認める
2026年3月31日、高松地裁(田中一隆裁判長)は、受刑者の選挙権を制限する公職選挙法の規定が「違憲」であるとの判決を下した。詐欺罪で実刑判決を受け、仮釈放後に選挙人名簿への登録を拒否された男性が提起した訴訟において、男性側の主張を全面的に認める判断を示したのである。
訴訟の経緯と判決の概要
判決によれば、男性は2019年に詐欺罪で懲役7年の実刑判決を東京地裁から言い渡され、服役を開始した。その後、2025年7月に仮釈放され、高松市へ転入したものの、同年12月の選挙人名簿に登録されなかった。男性は高松市選挙管理委員会に対して異議を申し立てたが、これは棄却されたため、棄却処分の取り消しを求めて訴訟を提起していた。
高松地裁は、まず「選挙権の制限にはやむを得ない理由がなければならない」とする最高裁判例を踏まえて検討を実施。選挙違反など「選挙の公正」に関連する犯罪を犯した者については選挙権制限の必要性が認められる一方、受刑者の大多数は選挙と無関係な犯罪で刑に服している点を強調した。
被告側の主張と裁判所の判断
被告である高松市選挙管理委員会側は、「受刑者は法秩序を著しく害したため、公正な選挙権の行使を期待できない」と主張していた。しかし、判決はこの主張を「抽象的な印象論の域を超えず、具体的な根拠に欠ける」と断じた。
さらに、国民主権の原理に基づけば、選挙権の制限は最小限度に抑え、可能な限り多くの国民に国政参加の機会を保障すべきであると指摘。受刑者に選挙権を認めない公職選挙法11条の制限は、選挙権を保障する憲法15条や、選挙人の資格を差別してはならないとする憲法44条に違反していると結論づけたのである。
その結果、裁判所は男性の選挙人名簿への登録を認める判決を言い渡し、選挙権制限の違憲性を明確に示した。この判決は、受刑者の権利回復と民主主義の深化に向けた重要な一歩として注目を集めている。



