開館40周年を迎えた小さなホール。客席に座ると、舞台上の柔らかい音色が天井から包み込むように耳へ届き、鼓膜を震わせる。そんな至福のひとときを提供するのが、三重県四日市市の楽器店「第一楽器」本店にあるコンサートホール「ムーシケ」だ。1986年に開業したこのホールは、最新技術を駆使して造られた。
創業者の思いが込められたホール
戦時中に幼少期を過ごした創業者の服部逸男さん(故人)は、自分ができなかった体験を現代の子どもたちにしてもらおうと、ヤマハの前身である日本楽器製造が音響設計を手がけたホールを建設した。工業都市の四日市はかつて、市史にも記されるほど「文化不毛の都市」と呼ばれたが、ムーシケは市民の音楽活動の拠点として定着。市内に文化的な薫りを広げてきた。
未来への継承
「これからも文化を根付かせる活動を続けたい」と力を込めるのは、逸男さんの息子である勝彦社長(73)。230席のホールは今日も誰かの響きに包まれる。この小さなホールが、四日市の文化の灯を守り続ける象徴として、次の40年へと歩みを進めている。



