埼玉県が北部拠点整備の基本計画案を公表 総事業費572億円で熊谷駅周辺に新庁舎群
埼玉県は、熊谷市に建設を予定している「北部地域振興交流拠点」の基本計画案を正式に公表しました。この大規模プロジェクトでは、熊谷駅近くに二つの庁舎棟を整備し、総整備費は約572億円に上ります。県議会企画財政委員会で6日に示された計画案は、地域の行政機能強化と交流促進を目的とした画期的な取り組みです。
A棟:市役所と県立図書館を一体化 11階建てで延べ3万5千平方メートル
白く光るイメージ図で示されたA棟は、現在の熊谷市役所から約300メートル南に位置する11階建ての大型施設となります。延べ床面積は約3万5千平方メートルで、新熊谷市役所と新県立図書館が主要なテナントとして入居します。
施設内の具体的な配置計画では、1階と中2階に県立図書館の窓口サービスやコンベンションホールを設置。2階には県立病院のサテライト施設を配置し、地域医療へのアクセス向上を図ります。さらに8階から10階にかけては、県立高等看護学院の教育施設や産業振興のためのスペースを確保する予定です。
B棟:県農林部機能を集約 「未来の県庁モデル」として先進的設計
A棟から東へ約1キロ離れた位置に建設されるB棟は、3階または4階建ての施設で、延べ床面積は約1万1千平方メートルとなります。ここには本庁の農林部機能を全面的に移転させ、周辺の地方機関を一箇所に集約する計画です。
県はこのB棟を「未来の県庁の先行モデル」と位置付けており、デジタル技術を駆使した効率的な窓口サービスや、多様な働き方を可能にする柔軟な執務スペースを設ける方針です。これにより、従来の行政サービスの枠組みを超えた、住民目線の新しい公共空間を創造することを目指しています。
工期と整備方式 最短でA棟2033年度、B棟2030年度完成を想定
設計と施工を一括発注する方式、あるいは維持管理までを含めた包括的な方式の採用を検討しています。事業者への事前調査結果に基づくと、設計から建設までの期間は最短でA棟が2027年度から2033年度、B棟が2027年度から2030年度と見積もられています。
完成後の年間維持管理費は両棟合わせて約5億4千万円と試算されていますが、県は「物価変動や計画内容の精査によって費用が増減する可能性がある」と注記しています。
老朽化した既存施設の更新が背景 歴史ある庁舎の役割終える
この大規模プロジェクトの背景には、既存施設の老朽化問題があります。現在の熊谷市役所本庁舎は1973年に完成しており、築50年を超える状態です。また、県立図書館は熊谷館が1970年、久喜館が1980年に開館しており、いずれも設備の更新が必要な状況にあります。
新拠点の整備により、これらの歴史ある施設はその役割を終えることになりますが、より近代的で機能的な空間で行政サービスと文化交流が提供されることになります。
埼玉県のこの計画は、単なる庁舎建て替えではなく、北部地域全体の振興と交流促進を目的とした総合的な地域開発プロジェクトとして注目されています。今後、詳細設計や住民説明会を経て、具体的な建設工事が進められる予定です。



