清瀬市長選で共産党籍の原田博美氏が初当選 図書館廃止を巡る市民の声が政治を動かす
東京都清瀬市長選は3月29日の投開票により、無所属新人で元市副議長の原田博美氏(50)が、再選を目指した無所属現職の渋谷桂司氏(52)との一騎打ちを制し、初当選を果たした。原田氏は共産党と社民党の推薦を受け、渋谷氏は自民党と公明党の推薦を受けて立候補していた。当日有権者数は6万2650人、投票率は40.18%(前回39.41%)と、僅かながら上昇した。
全国で4人目、都内では30年ぶりの共産党籍首長誕生
共産党によると、原田氏の当選により、全国で共産党籍がある現職首長は、埼玉県蕨市長、大阪府忠岡町長、長野県中川村長に次いで4人目となった。都内では、1996年に初当選し4期務めた狛江市の矢野裕氏以来、約30年ぶりの共産党籍を持つ首長の誕生である。また、清瀬市において女性市長が誕生するのは初めてのことで、歴史的な選挙結果となった。
原田氏は2003年に27歳で市議選に共産党公認で初当選し、6期目の途中で市長選に挑戦。選挙戦では、図書館の廃止や機能移転による縮小が最大の争点となり、原田氏は図書館の復活などを公約に掲げ、現職への批判票を集めて約1300票差の接戦で勝利を収めた。
図書館廃止を巡る市民運動が選挙の転換点に
清瀬市では2年前、市が推進する図書館廃止計画に反対する市民が立ち上がり、住民投票を求める署名運動が展開された。住民投票条例案は市議会で否決されたものの、粘り強く続けられた市民運動が、共産系市長の誕生に繋がる大きな要因となった。
市は2024年、6館あった図書館を閉鎖や新設で集約する条例案を市議会に提出し、賛成多数で可決。これに対し、市民らは「十分な情報提供がなく決められた」として廃止の是非を問う住民投票を直接請求したが、条例案は否決され、2025年3月末に中央図書館を含む4館が閉館された。現在は2館が存続、1館が新設され、3館体制となっている。
原田氏は市議としてこの運動に関わり、「市長を代えるしかない」という市民の声に押されて立候補を決意。選挙戦では、運動に取り組んだ市民らが再び街頭に立ち、原田氏を支援した。
市民の怒りが政治変革の原動力に
当選から一夜明けた3月30日、原田氏は図書館を巡る市民運動を振り返り、「市民の怒りがマグマのようにたまっていた」と語った。市民団体「夢のある図書館を創るきよせの会」共同代表の室沢隼也氏は、当選決定に「本当にうれしい」と涙を浮かべ、「声を上げれば街をつくっていける、政治をつくっていけることが分かった」と手応えを述べた。
一方、現職の渋谷氏は、国政や都政との連携、人口減少を見据えた行財政改革を訴えたが、前回選挙から得票数を約4000票減らし、敗北に終わった。
今後の課題と展望
新年度予算は既に可決され、図書館縮小に伴う本の宅配サービスが始まるなど、政策転換は容易ではない状況が待ち受ける。原田氏は少数与党として市議会と向き合わなければならず、難しいかじ取りが求められるが、「批判的な立場の人とでも、議論はできる」と前向きに語っている。
この選挙結果は、地域の課題に対する市民の声が政治を動かす力を持つことを示す事例として、今後の地方自治に大きな影響を与える可能性がある。



