陸上自衛隊が敵基地攻撃可能な長射程ミサイルを正式配備、防衛政策の歴史的転換点に
陸上自衛隊は、敵基地攻撃能力(反撃能力)を担う長射程ミサイルの配備を2026年3月31日から正式に開始した。軍備拡大を続ける中国を念頭に、海上自衛隊や航空自衛隊でも同様の装備の配備準備が進められており、日本の防衛政策における大きな転換点となっている。
「専守防衛」からの転換、長距離スタンド・オフ・ミサイルの配備開始
敵の射程圏外から攻撃可能な長距離「スタンド・オフ・ミサイル」の保有は、2022年末に改定された安全保障関連3文書に明記された方針である。防衛省は当初の予定を前倒しし、陸海空の自衛隊で順次配備先を拡大していく計画だ。
31日に配備が開始されたのは、健軍駐屯地(熊本県熊本市)に設置される射程約1,000キロの「12式地対艦誘導弾能力向上型」と、富士駐屯地(静岡県)に配備される変則軌道で飛翔する「島嶼防衛用高速滑空弾」である。これらの国産ミサイルは今後、えびの駐屯地(宮崎県)や上富良野駐屯地(北海道)にも配備される予定で、高速滑空弾は改良により射程を約2,000キロまで延伸させる計画が進んでいる。
海自と空自も配備計画を推進、多様なミサイルシステムを導入
海上自衛隊は、米国製巡航ミサイル「トマホーク」を搭載可能なイージス艦「ちょうかい」の改修を完了し、乗員の訓練を終了したことを3月27日に発表した。射程約1,600キロのトマホークは海外での発射試験を経て、9月頃に佐世保基地(長崎県)に帰港し、本格的な運用を開始する見込みである。
航空自衛隊も3月13日、ノルウェー製巡航ミサイル「JSM」の納入を開始したと公表しており、最新鋭ステルス戦闘機F35Aでの運用が計画されている。これらの配備により、自衛隊は多層的なミサイル防衛体制を構築することになる。
中国のミサイル戦力とのギャップ埋めを目指す防衛戦略
中国は射程500~5,500キロの地上発射型ミサイルを約2,000発保有していると推定されており、日本は米軍と連携してもこの地域における戦力差が大きいと指摘されている。防衛省は長射程ミサイルの配備を加速させることで、ミサイル戦力のギャップを埋め、「相手の意思をくじく」抑止力の強化を図っている。
しかし、国内では配備に伴う課題も多い。地元住民からは「本当に抑止力となるのか」といった疑問の声や、「攻撃目標になるのではないか」という不安が表明されており、防衛政策の転換に対する国民的な理解と議論が求められている。
今回の長射程ミサイル配備は、「専守防衛」を基本方針としてきた日本の防衛政策が、積極的な抑止力構築へと大きく舵を切った歴史的な転換点として位置づけられる。今後の展開では、技術的な改良や配備拡大に加え、地域住民との対話や国際的な安全保障環境への影響も注視されることになる。



