神奈川県相模原市は、障害者への理解を深め、手助けできる人の輪を広げることを目的とした「共にささえあいサポーター(共サポ)」制度を新たに開始する。6月からの養成講座を前に、教材となる動画づくりの現場が公開された。
動画教材で障害者の困り事を学ぶ
4月末、約15年前に脳内出血で倒れ、左半身にまひが残る相模原市在住の男性(73)がカメラの前で日常生活での困り事を語った。男性は「転んだ時、助けてください。あと段差ですね」「エレベーターを大きくしてください」などと話した。
周囲にどう話しかけてほしいかと問われると、病気の影響でうまくしゃべれない男性は言葉に詰まった。隣にいた、自らも足に障害がある妻(64)が「親身になって、ゆっくり聞いてもらえればいい?」と尋ねると、男性は「はい」とうなずいた。
養成講座の内容
共サポの養成講座は約45分間。そのうち約15分は、肢体や視覚、聴覚に障害がある人たちから、普段不便や不安に感じていることを聞き取った動画を視聴する。講座を団体で受講した場合、グループに分かれて動画の感想やどのような対応ができるかを話し合う。個人で受講する場合は、市のホームページで動画を閲覧し、自分の考えなどをフォームで回答する仕組みだ。
制度創設の背景
共サポ制度は、市内の障害者施設「津久井やまゆり園」での事件から今年7月で10年となるのを機に創設された。障害の有無にかかわらず人としての尊厳が守られ、「共にささえあい、生きる社会」を目指している。
市高齢・障害者福祉課の担当者は「段差やモラル、ルールなど社会の中に障壁はある。周囲の環境が変わっていけばそうした障壁はなくなっていく」との思いで講座の準備を進めている。
同課の奈良美幸課長は「講座を通じてさまざまな障害があることに気付き、ほんのちょっとした心配りをする人が増えれば」と取り組みの広がりに期待を寄せている。
受講者特典と目標
受講者には、市出身で障害があるアーティストのおおはしみささんがデザインしたシンボルマーク入りの缶バッチか、ストラップが贈られる。市では10年間で7万人の養成を目指している。
今後のスケジュール
今月22日には研修を兼ねて市職員向けの講座が行われ、一般向けには6月16日、市立若松小学校の5、6年生を対象とした講座が初回となる。オンライン受講も同日から開始される。受講は誰でも可能で、詳細は今後、市のホームページで公開される予定だ。



