日本国籍の取得に必要な条件を満たしているにもかかわらず不許可とされたのは違法だとして、アフリカ出身で難民認定を受けた男性が国を訴えた訴訟の判決が12日、東京地裁で言い渡された。岡田幸人裁判長は男性側の訴えを退け、請求を棄却した。
訴訟の背景
男性は2013年10月に来日し、2015年に難民認定を受けた。2018年と2021年の2回、帰化を申請したが、いずれも不許可とされた。国側は当初、不許可の理由を詳しく説明しなかったが、裁判の中で「十分な日本語能力が認められなかったため」などと主張した。男性は現在、永住者の在留資格を得て生活している。
男性の主張
男性は、日本国籍がないままでは海外渡航や銀行口座の開設が難しく、国際機関で働くというキャリアプランを実現できないと主張。明確な理由を示されずに帰化を不許可とされたのは不当だとして、不許可処分の取り消しや日本国籍の付与、慰謝料を求めて提訴した。
争点となった点
裁判では、帰化手続きにおける政府(法務省)の裁量の範囲が争点となった。国籍法は帰化の要件として、5年以上の日本居住、素行が善良であること、生計を立てられることなどを定めている。しかし、法律上明記されていない「日本社会への融和」も必要とされ、日常生活レベルの日本語能力などが求められている。
男性側は、これらの条件をすべて満たしているにもかかわらず不許可にされたと主張。また、日本政府も加入する難民条約が「締約国は難民の帰化をできる限り容易なものとする」と定めているのに、男性に対して適切な対応をとらなかったとして、不許可は違法だと訴えた。
国の反論
これに対して被告の国側は、男性が複数回の日本語テストで基本的な読み書きができなかったと反論。具体的な内容や点数は明らかにしなかったが、「日常生活に支障のない程度の日本語能力があるとは認められなかった」と主張した。また、帰化の許可については政府に極めて広範な裁量権があり、難民条約による制約も受けないと述べた。
法務省の運用厳格化
法務省は今年4月から、帰化を許可する要件について、従来の「5年以上の居住」を「原則10年以上」に引き上げるなど、法改正をせずに運用によって厳格化している。この動きは、難民や長期滞在者の帰化をさらに難しくするものとして、批判の声も上がっている。



