ASEANが移民労働者保護の新指針策定へ 多額の仲介手数料と低賃金問題に国際的対応
ASEANが移民労働者保護の新指針策定へ 手数料ゼロ目指す (31.03.2026)

ASEANが移民労働者保護の新指針を策定へ 世界的な労働力不足に対応

世界的に労働力不足が深刻化する中、東南アジア諸国連合(ASEAN)が、移民労働者の保護に向けた新たな指針づくりを進めていることが明らかになった。この指針は、送り出し国と受け入れ国の責任を明確化し、国際的な問題となっている採用・渡航時の法外な手数料や労働力の搾取を防止することを目的としている。関係筋によれば、11月に開催される首脳会議で「ASEAN宣言」として採択を目指すという。

多額の仲介手数料と低賃金問題に焦点

東南アジアからの労働力は長年、日本をはじめとする人手不足の国々を支えてきたが、採用・渡航のルールや仕組みは国によって異なり、問題が生じやすい。労働者がブローカーなどに多額の仲介手数料を支払い借金を抱えたり、低賃金で過酷な労働環境に置かれたりするケースが後を絶たない。日本では、技能実習生制度に関連して2024年、国際労働機関(ILO)の専門家委員会から「労働基本権の侵害と虐待的な労働条件が根強く存在する」と指摘された経緯がある。

新指針では、加盟国が自国の関連法や規制に盛り込むべき原則を定める方向で、具体的には雇用側が支払うべき採用経費などを明確に定義し、労働者本人が負担する「手数料ゼロ」を目標に掲げる。雇用の流れを透明化し、違法なブローカーの関与を排除するとともに、送り出し国だけでなく、域内の受け入れ国や雇用主などの責任も明確化する。今年のASEAN議長国であるフィリピンが中心となり、指針のとりまとめを進めている。

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ILO専門家も期待 「とても良い取り組み」

公正な移民労働市場をサポートするILOのプログラムでチーフテクニカルアドバイザーを務めるアンナ・エングブロム氏は、取材に対し「ASEANには、採用にかかるコストなどの規制がない国も多い」と指摘した上で、新指針について「まだ議論の段階だが、とても良い取り組みだ。採用コストや手数料が定義され、それを労働者が支払うべきではないことが明確になるよう期待している」と評価した。

日本も新制度「育成就労」で歩調合わせ

加盟各国から事実上の移民として労働者を多数受け入れている日本は、来年4月に外国人材の確保などを目的とした「育成就労」制度を導入する予定だ。この制度では、手数料を含む送り出しの適正化や受け入れ環境の整備を盛り込んでおり、ASEANの新指針が決まれば、歩調を合わせる形になる見込みだ。出入国在留管理庁の担当者は、ASEANの動きについて「まだ詳細は不明だが、関心を持って注視していきたい」とコメントしている。

育成就労制度は、慢性的な人手不足を解消するため、人材確保と育成を目的に2024年の入管難民法改正で創設が決まった。国際貢献を目的とした技能実習制度に代わり、2027年4月に導入される。一定水準の日本語能力が義務付けられ、条件付きで転職が可能となる。期間は原則3年で、試験に合格すれば長期滞在できる特定技能への道が開かれる。受け入れ上限は2年間で42万6千人と設定されている。

ASEANの背景と今後の展望

ASEANは1967年8月にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5カ国で発足した地域協力機構で、地域の平和と安定や経済成長の促進などを目的に多国間協力を推進している。加盟国は徐々に増え、昨年10月に東ティモールが加わり、現在は11カ国体制となっている。新指針の策定は、世界的な労働力不足の深刻化に対応し、移民労働者の権利保護を強化する重要な一歩として注目されている。

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