佐々木康さんが第34回林忠彦賞を受賞 ウクライナの日常に迫る戦争を写す
フォトジャーナリストの佐々木康さん(53歳、川崎市)が、第34回林忠彦賞(読売新聞社後援)の受賞者に選ばれました。佐々木さんは6日、「自分の写真が誰かに届いたことをとてもうれしく光栄に思う」とのコメントを寄せ、受賞の喜びを語りました。
受賞作はウクライナでの活動をまとめた写真集と写真展
受賞作は、クラウドファンディングで資金を集めて昨年4月に自費出版した写真集「XEPCOH ヘルソン―ミサイルの降る夜に」と、昨秋に東京都内で開催された写真展です。写真集はB5変形判で240ページに及び、ウクライナ南部の州「ヘルソン」を中心に、戦争が人々の日常にどのように近接しているかを捉えた作品を収録しています。
佐々木さんは2022年と2023年に計7か月間、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに滞在しました。その間、動物園内の地面にロケット弾が突き刺さっている様子など、戦争の影が日常生活に忍び寄る瞬間をカメラに収めました。写真集には、現地の友人らと交わした互いの無事を案じるチャットの内容も掲載され、戦時下の人間関係のあり方を浮き彫りにしています。
選考過程と専門家からの高い評価
主催する周南市文化振興財団によると、今回の林忠彦賞には83点の応募があり、最終候補10点まで絞られた中から佐々木さんの作品が選出されました。選考委員長を務める写真家の大石芳野さんは、佐々木さんの作品について「現地の人たちと共に苦しみ、怒り、悲しみながら撮影したことが伝わってくる。肝の据わった確かなフォトジャーナリストだ」と高く評価しました。
この賞は、写真家・林忠彦の業績を記念して設立されたもので、優れた写真作品や活動を表彰することを目的としています。佐々木さんの受賞は、戦争の現実を日常の視点から伝えるフォトジャーナリズムの重要性を再認識させるものとして、注目を集めています。
佐々木さんは今後も、ウクライナをはじめとする紛争地域での撮影活動を続ける意向を示しており、受賞を励みにさらなる作品制作に取り組むとしています。この受賞は、国際的な情勢を写真で記録し、発信するフォトジャーナリストの役割を改めて浮き彫りにする出来事となりました。



